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「不登校」の子どもたちに提供されたプログラムの意外な結果
記念すべき新年初投稿で、中邑賢龍氏の「新しい学び」のプロジェクトを紹介させていただきました。
このプロジェクトとの出会いは、超絶おもしろい「#伝説の授業採集」という本だったのですが、さらに中邑さん自身にも興味がわいたので、「#どの子も違う才能を伸ばす子育て潰す子育て」という本も読んでみました。
ざっと、中邑さんの人間支援工学という分野の研究を書き出すと、
・不登校傾向にある小、中学生の「異才」を発掘するプロジェクト「ROCKET」
・障害や病気を抱えた子どもたちのための大学、社会体験プログラム「DO-ITjapan」
・パソコンやICレコーダーなど、身の回りにあるテクノロジーを教育に活用する「魔法のプロジェクト」
・医療的ケアの必要な重度障害児のコミュニケーション支援プロジェクト
と、どれも気になるものばかり。まだまだ、さわりの部分しかインプットできていないのですが、そんな中でも「確かに!」と思う中邑さんの「考え方」がありましたので、自分への戒めとして、ここに書き留めておきたいと思います。
「子どもらが抱える問題の多くは、そもそも子どもが持っている認知特性や性格が親の期待や学校のやり方、社会のニーズなどと合っていないために起きている場合が多い。」
中邑さん曰く、「教育には明確な答えが見いだせるものばかりではないが、これははっきりと断言できる」とおっしゃっています。
僭越ながら、僕がGLSを立ち上げようと思った根底にもこのような思いがありました。
「学校」で勉強をするということは、ある意味「学校」という「文化」の中で自分を表現しないといけない。
そこには、「先生」という集団を整える役割の人がいて、「先生」が思い描く「集団」の中に収まることができないと「問題行動」と見なされて、子ども側に我慢を求められるという時代が確かにありました。
しかし、時代は少しずつ変わりつつあります。
これまでは、「我慢すること」にもそれなりの保証がついてきた面もありますが、そんな保障は既に消滅しました。
ここからは、「先生側」が子どもたちの特性に合わせてフォローしていく時代でしょう。
そんなことを考えつつ、読み進めていると、中邑さんのプロジェクトから思いもよらない「意外な結果」が導きだされていたので、その意外さもシェアさせてください。
▼「異才発掘プロジェクト」から得られた「意外な結果」
「異才発掘プロジェクトROCKET」は、
「これからの日本に必要なのは、過去の概念をぶっ壊し、自由で革新的な主張を実現できる行動力のある人だ!」
という思いからスタートしたそう。この構想だけでも、めちゃくちゃおもしろそうですよね。
そこで、この条件を満たす人材。「ユニークさゆえ不適応を起こした子ども」が集められました。
・目的なし
・教科書なし
・時間割なし
・協働なし
という、なしなしコンセプトのもと、
・壁を越えた人の話を聞く「トップランナートーク」
・生きた魚やエビなどを子どもに渡し、自らの力で食べる
・東京駅から稚内まで各駅停車の旅
・インドのアフマダーバードでエネルギー探し
などなど、「何それ!」という課題が出されます。
さすがに、子どもたちからも弱音や文句も出ますよね。ある子は、「これって何の意味があるの?」的なことを聞いてくると。しかし、肝心の大人たちは、「『面白いから!』じゃいけないの?」と返してくる。
このやりとり、最高じゃないですか。
だいたいは、「大人がそんなことしたって意味がない!」とかあーだこーだ言うものですが、このプロジェクトでは、子どもたち側から意味を求めてくる。
さて、気になるのはこのようなミッションをくぐり抜けた子どもたちが「どのような変化をしたのか?」ということ。
「プロジェクトを通して学んだことアンケート」を見ると、意外な結果が出たのです。詳しくは本書を読んでいただくとして、僕が驚いたのは、
「プロジェクト前とプロジェクト参加後を比較すると、『ほぼ毎日学校へ行く』という選択をする子どもが29%から54%に増えた。」
ということ。
中邑さんも、
「不登校の特権を生かした自由な教育を続けた結果、不登校をしていたうち、半数以上の子が毎日学校へ行くことを選んだということであり、皮肉なものです。」
と、語っています。
その理由としてプロジェクト参加メンバーの子どもさんは、
「自分の世界を大切にしながら、まわりに目を向けること、人の話を聞いてみることをお勧めしたい。」
と、来期の参加者へ向け文章にまとめたということでした。
もちろん、この変容は「この子」の成長です。子どもたち一人一人にとって感じ方の違いはあるでしょう。
しかし、「不登校」という状況をこれ以上ないというくらいフル活用して取り組んだ答えの1つとして興味深いなぁとも思うのです。
僕たちGLSも、知らず知らずのうちに「学校で必要な力のサポート」という枠にハマっていた部分もあったのかなと。
大人が考える「必要なこと」を子どもたちに提供することも大切ですが、子どもたちの声を聴きながら、ときには子どもが想定していた以上のことを提供するおもしろい大人の集まりでいたいなぁと改めて気付いたのでした。
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