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21.神さまは、いると思えばいるのかもしれない。



こんにちわ。
都内はずれで2011年から小さな店をしております、ペコと申します。店を始めたきっかけやその後の怒涛の話しなど、いろいろ書いております。



わたしは、その二件目の物件を見にいきました。
それはそれは寒い日のことでした。

会社を辞めてから一年。
スタートみたいな感じがして、店はなんとなく2011年に始めたかった。
2011年1月の11日にオープンできたらいいなあ。すごいなあ。
漠然と、そう思っていたんです。

が、時はすでに2010年12月。
完全に無理だわ。まあ、とりあえず中だけ見せてもらうか。物件マニアだし。

そんな気持ちで、その不動産やさんに連絡をし、友達を誘って場所へ行きました。

ネットで書いてあった不動産屋は、物件と離れた街にあり、駅前の不動産屋ではなかったので、担当者は車で来ることになっていました。

不動産屋って近いんじゃないんだ?

ここで若干不安要素マイナス1。
まあ、たしかに販売店みたいなもんだから近いだけじゃないだろうけど、、、。

「道が混んでいてすみません」
と、担当者が遅れて来ました。

お客を待たせる人なのか、、、?
ここでさらに不安要素マイナス1。

鍵を開けてもらい中に入りました。
もとは事務所だったので、なんにもない殺風景な場所。奥には小さなキッチンとタイルの古い和式トイレがありました。

事務所だ。
狭いなあ。
マイナス1。
トイレは臭う、、。和式だし。マイナス1。
キッチンというか、事務所の古い小さな炊事場。マイナス1。
うーむ。
うーむ。
また不安。

なんにもない部屋なのに、床が低く部屋が小さく感じたのです。
ここにテーブルを置いたら狭狭なんじゃない?マイナス1。

しかしながら、一階で大きい窓がある物件は、そうそうない。たくさんネットで物件を見ていたからわかる。

でもここは、角部屋なので南向きの窓からは陽が入る。
壁や天井も白くきれいに張り替えられていたし、古いながらの窓の木枠や、不自然ながら変形の部屋のかたちは、なかなかレトロで面白い。ただ四角の、なんもない部屋より気に入りました。

駅から10分以内なこと。
大通りじゃないこと。
商店街から入った道なこと。
近くに木か公園があること。
一階なこと。
窓が大きいこと。
プラス6!

よくよく考えたら、希望がだいたいかなっているじゃないの!
テーブル、椅子、キッチン、棚、なにより、そこでの思い描く店の映像がいろいろ浮かんだのです。

(こんなとこもいいね)
相変わらずそんな風に他人ごとに、友達と話していると、いきなり不動産屋がいいました。

(どうされますか)

エッ!

いや、今初めて見たんだし。
それに、こんな急に店は無理だよ。
いや、そもそも借りる勇気ない。

見に来たけど、現実には始める勇気はさらさらない。

(少し考えます)
答えました。
はっきりいって、勇気がない、決断する気もない。
物件を見て、店を思い描いて見ただけで満足だったのです。

すると不動産屋がいいました。
(実は他にも見たいというかたがいまして、決めるのならば来週までにお返事がほしいのです)

ちっ。よくあるクロージングのセリフだよ、、、。

けれど思ったのです。
ここが、ほかのひとに決まったら、あなたはどうなの?
ほかにこんな希望のかなう場所が見つかると思うの?

どうなの?

どうなの?

どうよ?

どうなんだーーー!??

でも…。
だって……。
どうしよう…。

やだー!こわいー!不安ー!無理ー!

「後で返事します」と決められないまま部屋を出ました。

決めたいけど、決めたいけど、決められないよー!
神さまー!!!

外に出ると目の前には不動産屋の車がありました。


車のナンバーが111!

か、神さま???

ほ、ほんとに??イヤイヤイヤ、、、。


わざとかよ!?

もちろん、クルマのナンバーが111だからと言って、どうってことないのですけど、だけどなんだか、神さまが、「オッケー!」とか「借りちゃいなよ〜」って言ってる気がして、なんだかわからないまま、わたしは、

(借ります!)

と、その場で返事をしてしまったのでした。


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