大塚敏之|星野リゾート

長野県軽井沢町の星野エリアにある「ピッキオ」で長年ネイチャーガイドとして活動しています…

大塚敏之|星野リゾート

長野県軽井沢町の星野エリアにある「ピッキオ」で長年ネイチャーガイドとして活動しています。休日などに軽井沢周辺で出会った生き物たちについて、写真とともに思いついたまま書きつらねます。 ※投稿は個人の意見です

最近の記事

春の青いオオルリ祭り

ゴールデンウィーク前半戦が終了しました。「軽井沢野鳥の森」にもたくさんの夏鳥が渡来し、その姿を求めるバードウォッチャーで賑わっています。木の葉が繁れば見つけるのは困難になりますから、今がその姿を見るチャンスです。私も平日の今日はお休みだったので、超繁忙期の疲れもなんのその、時折小雨降る天気でしたが、カメラを担いで出かけました。 森に到着すると、オオルリのさえずりが聞こえます。普段、木々の梢から聞こえるさえずりですが、今日は低い場所から聞こえてきます。さっそく姿を探すと、オオ

    • 自宅でムササビウォッチング

      我が家の庭には、自作した巣箱をいつくも掛けています。小さな巣箱は小鳥用。入り口の穴の直径約28mmで作ってあり、シジュウカラやヤマガラ、ヒガラなどが子育てに使ってくれます。そして大きな巣箱も掛かっていて、こちらは穴の直径が約80mm。コムクドリが子育てに使うこともありますが、時々ムササビがねぐらにしていて、顔を出して外を眺めていることがありますよ。 この巣箱は玄関を出てすぐ見える場所なので、朝、出勤する時に顔を出していることも。急いでカメラを出して撮影するのですが、あまりぐ

      • 今朝の霧氷

        今朝は休日だったのでのんびり寝ていたのですが、目を覚まして天窓から外を見ると、木々が真っ白になっていました。一瞬、雪が降ったのかと思いましたが、地面に雪はありません。木々の枝に水蒸気が氷となって付着した「霧氷」です。霧が出た氷点下の朝に見られる気象現象です。 この霧氷、日が差して気温が上がると、すぐにサラサラと落ちてしまいます。そこで急いで寝床から這い出して、庭で撮影することにしました。 アイキャッチ画像に写っているのは、右がカラマツで左がアカマツ、手前はコナラです。上の

        • そもそもベアドッグって?

          前回の記事では、ピッキオがベアドッグの繁殖に必要な資金を集めるために始めたクラウドファンディングを紹介させていただきました。 今回は、そのベアドッグについて紹介しましょう。 ベアドッグ(クマ対策犬)とは ベアドッグは、クマに対して強い反応を示すように特別に訓練された犬で、クマの匂いや気配を察知する事ができます。そして自分よりも体が大きなツキノワグマに怯む事なく、大きな声で吠えたてクマを森の奥へと追い払うことができます。 また、クマの目撃情報や野生動物による被害の現場に出

        春の青いオオルリ祭り

          ベアドッグを未来に繋げるために

          久しぶりの投稿です。 今日はちょっと皆さんにお願いがあって筆を取り・・・じゃない、タイピングしています。ピッキオが挑戦するクラウドファンディングの紹介をさせてください。 ピッキオにはいくつかのチームがありますが、その中にはクマの専門家チームもあるのです。今から20年以上前、軽井沢ではツキノワグマが別荘地のゴミ集積所を漁る被害が頻発していました。そこでピッキオでは独自にツキノワグマの調査を始めたのですが、その後に軽井沢町から委託を受け、本格的にツキノワグマの保護管理と被害対策

          ベアドッグを未来に繋げるために

          オニグルミ実る頃

          軽井沢には、野生のオニグルミの木が多くあります。夏の終わりになると、その鈴なりになった実を収穫に、ニホンリスたちがやってくるようになります。HDの古〜いデータから、そんなニホンリスたちの写真を掘り出してみました。探し当てたのは、なんと2006年と2009年に撮影した写真でした。 この季節のニホンリスは夏毛の装いです。耳の毛は短く、手足の先に茶色い毛が目立ちます。 ニホンリスは、森の奥から枝を伝ってオニグルミの木にやってきます。時折、枝の匂いを嗅いだり、周囲を見回しています

          ようこそ! ジョウビタキ

          冬鳥として日本に越冬のため渡来する小鳥「ジョウビタキ」。しかし私が暮らす長野県軽井沢町では、近年急速に繁殖する個体が増えています。以前より八ヶ岳山麓での繁殖が知られていましたが、少し遅れて浅間山麓にも繁殖個体が増えてきたようなのです。 私が軽井沢町内で初めてジョウビタキの繁殖を確認したのは、2017年の6月でした。妻の友人の結婚式に出席した際に、教会の前の道路でジョウビタキの家族群に出会ったのです。国内繁殖の例は聞いていたので「ついに来たか!」と思いました。 その2年後の

          ようこそ! ジョウビタキ

          白いヴェールの花嫁

          軽井沢野鳥の森には5月から6月にかけて、花嫁のヴェールのように白く薄い翅をはためかせ、ヒラヒラと舞うチョウたちが姿を現します。 年に一度、初夏に出現するウスバシロチョウです。 翅には鱗粉が少なく、陽にかざすと透けて見えるため、薄羽白蝶と名付けられました。白い見た目からは想像できませんが、アゲハチョウ科に分類されるため、ウスバアゲハとも呼ばれます。 卵で越冬したウスバシロチョウは、早春に幼虫が孵化するとムラサキケマンなどを食べて成長します。そして落ち葉の下で繭を紡ぎ、蛹にな

          庭に咲く花(2023年5月20日)

          先日、休みの日に庭に咲く花を撮影しました。機材はまたNikonDf+OLYMPUS ZUIKO90mmF2です。1枚目はスズラン。庭に勝手に生えてきたのをクリの木の根元に集めて植え替えたところ、毎年花を咲かせて、徐々に株も増えてきました。もっといっぱい増えるといいな・・・。 これも勝手に生えてきました。蔓性の植物で、秋に赤い実がなります。甘くて酸っぱくて辛くて苦くて塩辛い。5つの味がするので五味子だそうです。ほぼ酸っぱいですけとね。ホワイトリカーに漬けると、綺麗な赤い果実酒

          庭に咲く花(2023年5月20日)

          声はすれども・・・パート2

           「シシシシシシシシ・・・」虫のような声が、どこからともなく聞こえてきます。東南アジアから4月中旬に渡来する、夏鳥「ヤブサメ」のさえずりです。ヤブサメは漢字で「藪雨」と表記されます。鳴き声が藪に降る雨の音に似ているからだそうです。昔の人の音に対する敏感さと表現の豊かさには、いつも感心させられます。  ヤブサメは全長約10.5cm。尾羽が短く、とても小さな野鳥です。日本最小と言われるキクイタダキが10cm、やはり小さなミソサザイが10.5cm、ヒガラが11cm、メジロで11.5

          声はすれども・・・パート2

          声はすれども・・・

          ピッキオの前に広がる「ケラ池」は、冬はスケートリンクになる人工池です。しかし生き物の住処にもなるように、岸辺は土で覆われ植物が生えています。そんなケラ池では今の季節「カラララ・・・」「コロロロ・・・」と軽やかなカエルの声が響いています。繁殖に集まった「シュレーゲルアオガエル」たちの歌声です。 シュレーゲルアオガエルは緑色で足指の先に吸盤をもつ、樹上性のカエルです。普段は森の樹上で暮らし、春になると繁殖のため、ケラ池に集まってきます。池で歌っているのはオスたち。鳴き声により、

          声はすれども・・・

          オオルリ、コルリ、青い鳥

          今年も「軽井沢野鳥の森」に、オオルリが渡来しました。冬を東南アジアで過ごし、繁殖のため、日本に戻ってきたのです。ピッキオのスタッフが確認したのは4月16日、ケラ池周囲の梢から、さえずる声が聞こえました。 今年はまだ新しい画像は撮影できてないので、ハードディスクを漁って過去の画像の選りすぐりを紹介します。トップ画像は上下が切られていますが、他はすべてノートリミングですよ。そのトップ画像のオオルリは、2012年4月30日に撮影しました。アブラチャンの枝に舞い降りた姿で、背景に写

          オオルリ、コルリ、青い鳥

          カルイザワにサクラサク

          軽井沢の我が家の庭で、桜が咲き始めました。今日は休日だったので、せっかくなのでカメラを持ち出して撮影しましたよ。もっとも、観賞用として有名なソメイヨシノや河津桜ではなく、小さな花が下向きに咲く野生種「チョウジザクラ」です。 萼が長いことから、漢字の「丁」の字のようだということで「丁字桜」です。長い萼の奥に花蜜があり、マルハナバチ類やメジロなどが、長い口吻を差し込むことで花粉が運ばれます。 桜の花は、咲いて日にちが経つと赤味が強くなります。これは老化によりアントシアニンとい

          カルイザワにサクラサク

          早春のチョウ

          上の写真はルリタテハ。2010年のファイルから発掘しました。翅にある水色の帯が目を惹きますが、地の黒い部分も僅かに青味があります。 軽井沢野鳥の森ではここ数日、急にチョウの姿を多く見かけるようになりました。特にスギタニルリシジミを多く見かけるのですが、昨日は他にテングチョウ、シータテハ、クジャクチョウ、スジグロシロチョウに出会いました。 今回は過去の3、4月のフォルダを漁って、早春の軽井沢野鳥の森で出会えるチョウを、写真で紹介したいと思います。 クジャクの尾羽のような目

          樹洞ものがたり

          ニホンリスの樹洞 樹洞から出入りして遊ぶ子リスたち。当時、星野温泉ホテルの敷地のはずれに立っていた木に空いた樹洞で、ちょうどホテルからピッキオのオフィスが入った建物に行く途中にありました。ある日、子リスたちがいることに気付き、次の休日に車の中に隠れながら、500mmの望遠レンズで撮影しました。 めったにない撮影チャンスです。ピッキオのビデオカメラ(当時はminiDVテープ)も持ち出して、車の外に三脚を立てて録画しながら、車内からは自分のフィルムを詰めたNikon newFM

          春を告げる花

          早春の陽だまりに、いち早く花を開く福寿草(フクジュソウ)。軽井沢では自生地を知りませんが、あちこちの庭先に植えられているため、散歩しているとよく目にします。まだまだ寒い3月の軽井沢に、春の訪れを告げてくれる花です。 ピッキオのオフィスは「星のや軽井沢」からさらに奥に入った星野別荘地内にあります。昔は企業の保養所として使われていた建物のため、駐車場の隅には当時に植えられたであろう草花が、何種類か生き残っています。フクジュソウもそのひとつで、毎年いち早く姿を見せてくれます。先日