大塚敏之|星野リゾート

長野県軽井沢町の星野エリアにある「ピッキオ」で長年ネイチャーガイドとして活動しています…

大塚敏之|星野リゾート

長野県軽井沢町の星野エリアにある「ピッキオ」で長年ネイチャーガイドとして活動しています。休日などに軽井沢周辺で出会った生き物たちについて、写真とともに思いついたまま書きつらねます。 ※投稿は個人の意見です

最近の記事

スマホで撮った昆虫写真(iPhone6後編)

今回のアイキャッチはクジャクチョウ。ピッキオビジターセンターの脇で夏の訪れを告げる、オカトラノオに訪花していました。 同じオカトラノオで撮影したイチモンジチョウ。前回の記事で、スマホのカメラは広角レンズなので背景の処理が難しい、と書きました。この2枚はどちらも翅の模様がわかりやすい俯瞰で撮影することで、結果的に背景も密生した葉になって、あまりうるさく感じられません。 平面的な木の幹に静止するノンネマイマイをストレートに撮影しました。黒っぽい幹を背景に白い蛾が止まっているの

    • スマホで撮った昆虫写真(iPhone6前編)

      アイキャッチの写真は、自宅の庭のブットレアに飛来したアサギマダラです。カメラを持ち出す間に逃げてしまってはいけないので、とっさにポケットの中からスマホを取り出して撮影しました。 フィルムで写真を撮っている頃、小さな昆虫は一眼レフカメラにマクロレンズやマクロ機構付きのズームレンズを装着して撮影しないと、満足な大きさで写すことができませんでした。それがデジタルカメラの登場で、コンパクトデジタルカメラでも撮影することが可能になります。その大きな理由は、フィルムの代わりとなる撮像セ

      • キボシアシナガバチで観察された子殺し

        子殺しとは動物における子殺しとは、一般的に同種の子どもを成体が殺す行動を指します。「種の保存の法則に反する」として、以前は偶発的な、もしくは異常な行動と見られていました。しかしハヌマンラングール(猿)やライオンにおいて、ハーレムを持つオスが交代した際、新しいオスが群れの子どもを殺す行動が知られるようになりました。すると子供を失ったメスたちはオスを受け入れるようになり、群れには新しいオスの子どもが産まれるのです。オスによる子殺しは、自らの子孫を残すための適応的な行動と受け止めら

        • ピンクのバッタを追え!

          夏休みが始まる少し前、小学生の息子が学校帰りに「ピンク色のバッタ」を捕まえてきました(写真上)。小型のバッタ「ヒナバッタ」です。本人曰く、ピンク色のバッタが何匹もいるという。ピンク色のバッタといえば、新聞の地域欄では青いアマガエルと並んで定番ネタです。それが何匹もいる? 「じゃぁ夏休みの自由研究のテーマにしたら」と言ったのですが、本人はあまり乗り気ではなく、結局、自由研究にはなりませんでした。 でも調べてはみたい、ということで「じゃぁ休みの日に一緒に行こう」となったのですが

        スマホで撮った昆虫写真(iPhone6後編)

          「特撮のDNA in 信州上田展」に行ってきた

          特撮映画の70年 ー それは『ゴジラ』から始まった 上田市立美術館サントミューゼで開催されていた『特撮のDNA in 信州上田展』を、最終日の閉館30分前ギリギリ滑り込みセーフで観覧してきました。ゴジラシリーズを中心に、東宝特撮映画に関連した様々なモノが展示されるということで、テレビCMを見ては「行きたいね〜」と言っていたのですが、「今日までじゃん!」ということで急遽、上田まで車を走らせましたよ。軽井沢から上田までは、車で1時間ほどの距離です。 冒頭の写真は「オキシジェン

          「特撮のDNA in 信州上田展」に行ってきた

          わざわざプリングルスを買いに行った話

          久々の更新ですが、今回は仕事とはまったく関係ない話・・・。 最近、息子が虫の飼育にハマっている。ネット動画を見て勝手に情報収集しては、クワガタムシを産卵させて幼虫を菌糸瓶に入れたりして、我が家の居間の一角はキノコ工場のようだ。それでクワガタの写真が撮りたいというので、もうほとんど出番のないOLYMPUS E-620とZUIKO DIGITAL 14-54mmF2.8-3.5を「使っていいよ」と渡してみた。この標準ズームはそこそこ接写もできるので、クワガタ程度ならなんとかなる

          わざわざプリングルスを買いに行った話

          我が家に赤ちゃんがやってきた

          ムササビですが・・・。 ゴールデンウィークが終わってやっとの休日、庭に出るとムササビ用巣箱の中から、何やら「ゴトゴト」と物音が聞こえました。穴の奥にムササビのしっぽらしいものが見えたので、その時は「いつものムササビが背中でも掻いているのかな?」程度に思っていたのです。しかし次の休日、ふと巣箱を目にすると、何やら小さなおててが出ているじゃないですか!! 「あれっ? ちっちゃくない?」 ムササビの赤ちゃんです! なんと、我が家の巣箱で子育てをしていたようです。 先日の「ゴト

          我が家に赤ちゃんがやってきた

          春の青いオオルリ祭り

          ゴールデンウィーク前半戦が終了しました。「軽井沢野鳥の森」にもたくさんの夏鳥が渡来し、その姿を求めるバードウォッチャーで賑わっています。木の葉が繁れば見つけるのは困難になりますから、今がその姿を見るチャンスです。私も平日の今日はお休みだったので、超繁忙期の疲れもなんのその、時折小雨降る天気でしたが、カメラを担いで出かけました。 森に到着すると、オオルリのさえずりが聞こえます。普段、木々の梢から聞こえるさえずりですが、今日は低い場所から聞こえてきます。さっそく姿を探すと、オオ

          春の青いオオルリ祭り

          自宅でムササビウォッチング

          我が家の庭には、自作した巣箱をいつくも掛けています。小さな巣箱は小鳥用。入り口の穴の直径約28mmで作ってあり、シジュウカラやヤマガラ、ヒガラなどが子育てに使ってくれます。そして大きな巣箱も掛かっていて、こちらは穴の直径が約80mm。コムクドリが子育てに使うこともありますが、時々ムササビがねぐらにしていて、顔を出して外を眺めていることがありますよ。 この巣箱は玄関を出てすぐ見える場所なので、朝、出勤する時に顔を出していることも。急いでカメラを出して撮影するのですが、あまりぐ

          自宅でムササビウォッチング

          今朝の霧氷

          今朝は休日だったのでのんびり寝ていたのですが、目を覚まして天窓から外を見ると、木々が真っ白になっていました。一瞬、雪が降ったのかと思いましたが、地面に雪はありません。木々の枝に水蒸気が氷となって付着した「霧氷」です。霧が出た氷点下の朝に見られる気象現象です。 この霧氷、日が差して気温が上がると、すぐにサラサラと落ちてしまいます。そこで急いで寝床から這い出して、庭で撮影することにしました。 アイキャッチ画像に写っているのは、右がカラマツで左がアカマツ、手前はコナラです。上の

          そもそもベアドッグって?

          前回の記事では、ピッキオがベアドッグの繁殖に必要な資金を集めるために始めたクラウドファンディングを紹介させていただきました。 今回は、そのベアドッグについて紹介しましょう。 ベアドッグ(クマ対策犬)とは ベアドッグは、クマに対して強い反応を示すように特別に訓練された犬で、クマの匂いや気配を察知する事ができます。そして自分よりも体が大きなツキノワグマに怯む事なく、大きな声で吠えたてクマを森の奥へと追い払うことができます。 また、クマの目撃情報や野生動物による被害の現場に出

          そもそもベアドッグって?

          ベアドッグを未来に繋げるために

          久しぶりの投稿です。 今日はちょっと皆さんにお願いがあって筆を取り・・・じゃない、タイピングしています。ピッキオが挑戦するクラウドファンディングの紹介をさせてください。 ピッキオにはいくつかのチームがありますが、その中にはクマの専門家チームもあるのです。今から20年以上前、軽井沢ではツキノワグマが別荘地のゴミ集積所を漁る被害が頻発していました。そこでピッキオでは独自にツキノワグマの調査を始めたのですが、その後に軽井沢町から委託を受け、本格的にツキノワグマの保護管理と被害対策

          ベアドッグを未来に繋げるために

          オニグルミ実る頃

          軽井沢には、野生のオニグルミの木が多くあります。夏の終わりになると、その鈴なりになった実を収穫に、ニホンリスたちがやってくるようになります。HDの古〜いデータから、そんなニホンリスたちの写真を掘り出してみました。探し当てたのは、なんと2006年と2009年に撮影した写真でした。 この季節のニホンリスは夏毛の装いです。耳の毛は短く、手足の先に茶色い毛が目立ちます。 ニホンリスは、森の奥から枝を伝ってオニグルミの木にやってきます。時折、枝の匂いを嗅いだり、周囲を見回しています

          ようこそ! ジョウビタキ

          冬鳥として日本に越冬のため渡来する小鳥「ジョウビタキ」。しかし私が暮らす長野県軽井沢町では、近年急速に繁殖する個体が増えています。以前より八ヶ岳山麓での繁殖が知られていましたが、少し遅れて浅間山麓にも繁殖個体が増えてきたようなのです。 私が軽井沢町内で初めてジョウビタキの繁殖を確認したのは、2017年の6月でした。妻の友人の結婚式に出席した際に、教会の前の道路でジョウビタキの家族群に出会ったのです。国内繁殖の例は聞いていたので「ついに来たか!」と思いました。 その2年後の

          ようこそ! ジョウビタキ

          白いヴェールの花嫁

          軽井沢野鳥の森には5月から6月にかけて、花嫁のヴェールのように白く薄い翅をはためかせ、ヒラヒラと舞うチョウたちが姿を現します。 年に一度、初夏に出現するウスバシロチョウです。 翅には鱗粉が少なく、陽にかざすと透けて見えるため、薄羽白蝶と名付けられました。白い見た目からは想像できませんが、アゲハチョウ科に分類されるため、ウスバアゲハとも呼ばれます。 卵で越冬したウスバシロチョウは、早春に幼虫が孵化するとムラサキケマンなどを食べて成長します。そして落ち葉の下で繭を紡ぎ、蛹にな

          白いヴェールの花嫁

          庭に咲く花(2023年5月20日)

          先日、休みの日に庭に咲く花を撮影しました。機材はまたNikonDf+OLYMPUS ZUIKO90mmF2です。1枚目はスズラン。庭に勝手に生えてきたのをクリの木の根元に集めて植え替えたところ、毎年花を咲かせて、徐々に株も増えてきました。もっといっぱい増えるといいな・・・。 これも勝手に生えてきました。蔓性の植物で、秋に赤い実がなります。甘くて酸っぱくて辛くて苦くて塩辛い。5つの味がするので五味子だそうです。ほぼ酸っぱいですけとね。ホワイトリカーに漬けると、綺麗な赤い果実酒

          庭に咲く花(2023年5月20日)