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鶴川ロックマガジン

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2019年8月の記事一覧

ユニコーンと日本のロックジャーナリズムについて、ちょっと思うこと

ユニコーンと日本のロックジャーナリズムについて、ちょっと思うこと

今春『ミュージック・マガジン』がユニコーンを表紙・巻頭特集に扱った。同誌は創刊50周年にちなんだ様々な特別企画をやっている最中で、従来とは毛色の違うモノを大々的に取り上げることもその一環なのかも知れない。中身のほうは“語りたいことを絞った人”と“書けることで埋めた人”とで評文の温度差が目立つものだったが(作品の外にある情報でそれらしくするのは著名評論家に多い悪癖だ)とかく、語られざる彼らに新たな風

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1コマ目で4コマ分笑わせるマンガ家、中川いさみ

1コマ目で4コマ分笑わせるマンガ家、中川いさみ

ぼくが今まででいちばん愛読してきたギャグマンガは「クマのプー太郎」(1990-94年、小学館)だ。当初の単行本で全5巻保管しており、大げさでなく全ネタおぼえるだけ読んだ。学生時代の友人にぼくと同じレベルのファンが1人いて、今でもたまに会うとクマプーから引用したギャグを交わすのが習慣になっている。

4コママンガにおける笑いを大別すると、いわゆる起承転結に則ってサゲる伝統的なものと、早い段階でアイデ

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「学生節」とボブ・ディラン

「学生節」とボブ・ディラン

クレージーキャッツの関連楽曲で、ぼくがいちばん好きなのは「学生節」(1963年)である。クレージーというと大半は青島幸男と萩原哲晶のゴールデンコンビが手がけているが、本曲は代表曲のひとつながら、作詞が劇作家の西島大で作編曲が山本直純という異色コンビによるものだ。

ブラスバンドが規則正しい4拍子を奏でる依存性の高い曲調の中、最たる聴きどころは1番の植木から2番の谷へと繋がるところ。このツートップの

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