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市立図書館vsカフェで見えた格差とドラッグのはなし

重い話なので面白い話や明るい話を求めている人はスルーしてください。私は海外に住んでいるので日本の図書館の話ではない事をご了承ください。

2022年12月、期末テストを控え勉強に没頭したい子供の依頼を受けて大きな机のある市立図書館へ勉強しに行った。この図書館は大型公園に併設されているのでホームレスの人も館内で見かけていた…がコロナを機にホームレスの人の数が増えていた。勉強したい人、静かに本を読みたい人、パソコンを使用したい人、ホームレスの暖を取りたい人とそれぞれがバラバラに陣取る。子供と私は勉強スペースにてお互いにヘッドホンを装着し黙々と作業を開始した。

1時間もしないうちに幼児のアーアー唸る声がこちらへと近づいてきた。私も子供も最初は知らんぷりを決めたが状況は一向に変わる様子もない。一定間隔の奇声から自閉症か感覚過敏があるのは容易に察しがついたのでこちらの忍耐度をかなりあげたつもりだった。けれど幼児の意向はそっちのけで両親が図書館に設置してあるジグソーパズルで遊び始めた。幼児は声を出すのが楽しいからか、またはつまらないので声を出したいから叫び続けている。恐らく親も障害を持っているのだと悟った瞬間だった。そのうち知人かソーシャルワーカーとおぼしき女性がこの家族の前に現れ防音個室(スタディルーム)に去って行き静寂が戻った。

私はたまたま障害を持たずに生まれ、たまたま障害にならずに今に至ったにすぎない。それでも事故や病気でこの先いつ何時、身体障害や精神障害になるかわからない。あの親子の姿は私とは全く関係ないとブツリ切れないのだと見せられた瞬間だった。

長時間勉強する予定とは裏腹にすっかり困憊してしまった子供と私は席を立ち、午後は心機一転カフェに移動した。お店は韓国系の方が経営しているので飲み物も美味しいし店内のセンスも良い。周りは会社員や学生達が静かに座り店内はK-POPが流れている。互いに700円程の飲み物を手に静かなテーブルで勉強に没頭した。

お金で安全な地域に住む権利を買い、お金で教育を買う世界(国)で生きている。今日のように公共の施設で勉強しようにも頓挫し、お金でカフェという空間を手に入れ勉強する。空間代を持ち合わせない人々はどうするのか? そもそも人間は生まれながらにして平等ではないのだと子供に率直に話した。子供もそれは嫌という程習ったし現実はもっとあからさまだった。同級生の中には別荘を持ち、休暇の度に海外で過ごし大きな屋敷に住んでいる者が多数いる。金が全てだとこの国は言う。

効率を第一とし、生産性を追求し拝金主義のこの国でも貧しいかろうが金持ちだろうが平等についてるまわる問題がある。ドラッグ問題だ。心が満たされていなければドラッグに手を出すのは明白なので金持ちの子供でドラッグに手を出す子もいるし、貧しい子で教育がない為に身近なドラッグに手を出す子もいる。日本の若年層の自殺者数が多いのは有名な話だが自殺に至らないだけでドラッグに手を染め病める若者の数はこの国では何十年もの間、社会問題にされている。

思春期の子を持つ親が私に話してくれた励ましのセリフが衝撃的だった。「思春期の娘や息子が自殺してなくて、刑務所に入ってなくて、ドラッグしていなければそれで充分なのよ。」極端な励まし文句と言ってしまえばその通り。だが底辺はそこかと、そんなに危うい世界に生きているのかと。

何かが間違っていると感じるのは私だけだろうか。

拝金主義。生産性の追求をやめ、もっと人間らしく生きることに価値を置いたならば心が満たされドラッグに手を出さなくても済むのではないか? 

先日夕刻、日本のオートバックスのようなところへ旦那と出かけた。駐車マスに車をとめ、隣の車を見て私は凍ついた。後部座席に座る男性の目がこの世の者ではない。失礼な話だが私は即座に虐待を受けた人か精神異常の人としか思いつかなかったが15分後に答えが出た。買い物を終えてトランクに荷を詰めた際に旦那が隣の車に目をやった。車に乗り込み走りながら旦那は「気づいたか?あれはクラック(コカイン)をやっている。」あの目は人間のものではない。大麻をやっている人はちらほら見てきたがコカイン中毒者を間近で見たのは初めてだった。全く違う。ヤバさが300%違う。

ドラッグ問題があまりに身近すぎる故に日本では蔓延って欲しくないと切に願う。


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