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ボロボロシワシワ

ここ二週間、介護事業者の不誠実な朝令暮改に疲れ果てて、嘔吐下痢が止まらなかった。
何を食べても飲んでもすぐに排出してしまうので、脱水症状であることは認識していた。

今日、整体を受けたときに異常に血圧が低かった。
最近の介護事業者のストレスで、嘔吐下痢の症状は話してあった。

整体師「ここの腰のくびれがすごい事になっていますよ」

私「横になってるからくびれて見えるだけじゃない?」

整体師「いや、何年も花さんの身体見てますけどここまで酷いくびれは見たことなかったです。
はっきり言って激痩せレベルで危険です。


低血糖になっていませんか?
ラコール(胃ろうや経鼻チューブの人にも使われる総合栄養剤)とか飲んだらどうでしょう」

私「水でも吐いちゃうのに、そんなもの飲んだら大変なことになっちゃうよ」

整体師「では飴でもいいので舐めて下さい」

私「飴かあ。でかけられる体力あったら買ってくるね」

整体師「…出掛けるのもちょっと……
今の状態なら感染症にかかるリスクが高いので、なるべく家で休んでいた方がいいです」

私「どっかにカロリーメイトがあったから、それ食べようかな?」

整体師「それならリスになったつもりで、少量ずつ齧りとって食べてください」

私「分かった」

整体師「ああ!またこんな所に大あざができてる!
これは相当な痛みだったと思います。どこにぶつけたんですか?」

私「めまいでマトモに歩けないのに、洗濯が趣味じゃん?
だから転んだりぶつけたりしながら、洗濯物干しちゃうんだ。
でもさー、頭痛と過敏性腸症候群と筋肉痛の方が辛いからアザぐらい何ともないよ」

整体師「何ともないレベルのアザじゃないですよ!
花さん、ちょっと自分の身体に気を遣って下さい」

そういえば4年前、失声症になって倒れたことがあった。

今と同じように低血圧になって、数分失神して身体中アザだらけになってたな。

そのぐらいヤバいのか…。

整体が終わって、久しぶりに自分の顔をまじまじと見た。

顔の肉がだらしなくたるんで、五歳は一気に老けていた。

入浴前、自分の裸体を見た。

自慢のポッコリお腹が萎んでシワシワになっていた。
胸も二回りくらい小さくなっていた。

抜け毛も増えている。

手足も筋肉がごっそり落ちて、骨が剥き出しになっている。
そこに濃く色づくアザ。
醜い。

そこで我に返った。

「明後日、親子ダンスの予定が入っているのにこのままじゃ穴を開けてしまう!何とかしなくては!」


しかし頭が働かない。思考できない。
口の中は胃酸なのか絶えず苦い。
料理を作る気にもなれない。

何だったら食べられるだろう?
冷蔵庫内を見ていたら、キャベツぐらいしか食べられそうな物がない。
肉と炒めて焼きそばを作ろう。

ノロノロと調理を始めたが、一向に捗らない。
いつもの5倍くらいの時間がかかった。

出来上がって、口に運ぶ。

マズイ!
苦味で味が分からない。
ここまで栄養失調になると、味覚も衰えてしまうんだな。

青のりと鰹節とマヨネーズをドバドバかけて、何とか口に押し込んだ。

多分すぐ嘔吐下痢に襲われるだろう。
99%が排出されても、1%が吸収されたらいい。

私を心配してくれる人がいるんだから、何とか生きなければならない。

私が死んでしまったら顔向けができない。

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