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「最後の晩餐」って、きっと、その人にとっての「最高の食卓」ってことだ。

人が死んで、最初にいくのは真っ白な部屋。
真っ白なテーブル、真っ白な椅子に座ります。

ここは、あの世とこの世のさかいめ。
私たちはこのあと、あの世に行くのです。

さあ、最後になに食べたい?
好きなものを言ってごらん。

私はこう、答えます。

……ん?なんて答えよう……?


---🍴---


「最後の晩餐」と聞くと、なぜだか「好きなものが出てきて食べられる白い部屋がある」ってイメージが浮かぶ。
そういうマンガか、ドラマか、何かあったっけ?全く思い出せない。

マンガ「死役所」とは違い、この空間では、何歳で死のうと元気で健康な状態で、美味しくごはんが食べられて、なんでも提供されるというのがミソだ。

しかし、そんな素敵空間(?)のイメージを持ち始めたのはつい最近。

まずは、かつての私の話をしよう。


---🍴---


「お母さんが作った、塩むすびと、卵焼きと、豆腐と揚げのお味噌汁!」


十数年くらい前の私は、「人生の最後になにを食べたいか」という問いにこう答えていた。

これが私にとっての、理想の「最後の晩餐」。
そう結論づけたのは、高校生のころだったか、大学生のころだったか……

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好き嫌いが多い私は、肉も食べない、野菜も食べない、「好物はごはんと卵焼き」という女児であった。

味噌汁の具も、豆腐と油揚げが至高。
オール大豆。他の具は入っていても残す。

卵焼きは、他の人が作った卵焼きはだめ。
「お母さんが作った卵焼きがいい!」
こう言うと、母は「全くこの子は…」と言いながらも、嬉しそうだった。今も実家に帰ると作ってくれる、「とくべつな卵焼き」である。

母と私の思い出飯
大好きな白いご飯。甘くてふわふわの卵焼き。
そして、全てが大豆で出来ている味噌汁。

死ぬ前に食べるのにこんなにふさわしいご飯があるだろうか。いや、ない。(反語)

しかし、これには大きな問題があった。

私が最後にこの「最高の晩餐」を食べるには、母より先に死ぬ必要があるということ!

だめ、それは絶対だめ!
親より先に死ぬやつがあるか!


……そうして、大人になった私はまた考える。

「最後の晩餐、なに食べたい?」


---🍴---

私は……


大学生時代、夫が作ってくれたスパゲティが食べたい。衣装ケースのうえで、食べたやつ。


狭くてごちゃついた寮の部屋。
衣装ケースがテーブルがわりだった。

すこし茹ですぎて膨張した麺に、各々が好きなレトルトソースをかける。ただそれだけのスパゲティ。

でも、すごくおいしかった。


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「狭い部屋でも、なんの変哲もないスパゲティでも、こうやって2人で食べるとおいしいね」

「もしも、いつか私たちが結婚して、広い部屋に一緒に住むときがきたら……あの頃は、衣装ケースをテーブルにしてスパゲティ食べてたなぁって話す日が、来るのかなぁ」

思っただけで口に出したかどうか覚えていない。
衣装ケースの上で、「未来の夫」が作ったご飯を食べるたび、ほわほわ思ってたことだったから、一度くらいは言ったかもしれないね。

私は最後、あのスパゲティが食べたい。

……

いや、ちょっと待て。

私が最後にこの「最高の晩餐」を食べるには、私が夫より先に死ぬ必要があるよね?!

私は夫より長生きするから作ってもらえない……だめだ……

(夫に早く先立て!と思っているわけではなく、私が先に死んだら夫はつらくて悲しくておかしくなってしまうだろうから、私より1日早く夫が先に死ぬ、ということに私の中でなっているのである)


最後の晩餐考えるの難しい!難しいよぉおお!
なんで?!なんでなんだあああ!!!


---🍴---



世の中には、山ほど高級な料理がある。お気に入りのお店だってあるし、好きなスイーツだってたくさんある。

それでも、「最後の晩餐になに食べたい?」って聞かれたのときの私の答えに、それらは一切顔を出さない。


最後の晩餐って、きっと、その人にとっての「最高の食卓」ってことだ。


そして私にとっての「最高の晩餐」は、誰かが私のために作った料理。愛する人の作った料理だ。

どんなに大金を叩いても買えない。
どんな店にも売っていない。

この世の中で最も贅沢で、値段がつかないご飯。
それは「愛する人の作ったご飯」なのだろう。

最後にそんな、プライスレスなご飯を食べたいと望むなんて、私はとんだ贅沢者だ。


---🍴---


やっぱり私は、死んだら、あの世とこの世のまんなかの「白い部屋」に行きたい。

健康な体で、たくさん美味しく食べられる体で、「最高の最後の晩餐」を味わいたい。

そこで私は、お母さんが作った塩むすびと卵焼きと豆腐と油揚げのお味噌汁を食べて、そのあとに、夫が作ったスパゲティを食べるんだ。

愛する人に囲まれたいい人生だったって、思いながら。

そうして、ぜーんぶぺろりと食べてから、お母さんと夫が待つあの世に旅立つんだ。


---🍴---


でも、その前に……
まずは、この世の楽しみは、生きてるうちに存分に味わわないとね!

夫よ、明日の私の晩餐は、スパゲティでお願いね!

ソースは、レトルトの、キューピーの、ミートソース。粉チーズはたっぷりでお願いします!(セーイ!)

あの寮の部屋より何倍も広いリビングで、座って食べられるテーブルで、2人の可愛い息子たちとご飯を食べよう。そうして、たまにはあの「衣装ケースのテーブル」の話もしよう。ね。

大学時代よりも上手に麺を茹でられるようになった夫の作るスパゲティは、もう「あのときの味」ではない。
将来、息子たちが私のためにパスタを茹でてくれる日もあるかもしれない。

……そんなふうに、これからまだまだ、何回も更新されていくであろう私の「最高の最後の晩餐」候補に思いを馳せてみる。

うむ、長生きしないとね。


あなたの「最後の晩餐」はなんですか?

なぁに、心配いりません。私たちは、死後は「白い部屋」に行くんです。健康な体で、元気になんでもパクパク食べられる状態で、好きなご飯を注文できますからね。

さ、「最高の食卓」を自由に想像して……👐🏻 


おあとがよろしいようで。


---💌🕊---


#五賢帝教育研究所
テーマ記事企画・今月のテーマ「最後の晩餐」によせて書きました

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