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モノを捨てる勇気がないあなたへ


最後の難関にぶちあたった。



一年使ってない食器は捨てた。
似合わない服も捨てた。
サビた調理器具も捨てた。
ぼろぼろの靴も捨てた。
カビの生えた衣装ケースも捨てた。
書類も家電の説明書も薬もコスメも全部、捨てた。


数年ぶりに床が見えた。
モノがすごく減って毎日が快適になってきた。
やっとだ。やっと、ここまで、来たのに。
それなのに。



小さいころからずっと一緒に寝ていたぬいぐるみが捨てられなかった。
昔趣味だったモノがどうしても捨てられなかった。
大好きだったばあちゃんが編んだセーターが捨てられなかった。
大量の家族の写真が捨てられなかった。

コツコツ集めたガチャガチャのコレクションがどうしても捨てられなかった。
400冊を超える大量の本が捨てられなかった。
初任給で奮発して買ったカシミヤのマフラーが捨てられなかった。



結局、ここまでか。



やることはやった。
できることも全部やった。
床も見えた。

「ちょっと散らかってるけど、まぁこういう日もあるでしょ」

ってレベルの部屋にはなった。



本もコレクションも雑貨もぬいぐるみもばあちゃんのセーターも私には捨てられない。無理だ。どうしてもそのふんぎりがつかない。

「ここまでだ」

そう、思いこもうとした。

でもできなかった。



やっぱり、私、素敵な部屋で暮らしてみたい。



もううんざりだった。

視界にはモノ、モノ、モノ、モノ。
ポストからもってきた郵便物がテーブルの上にのってる。
台所は調理器具とか使いもしない香辛料の瓶が散らばってる。
「あとでメルカリに出そう」と思ってたモノたちが部屋の隅で山をつくっている。
視界が、全部、「あとでやろう」と思っていることで埋め尽くされていた。


もう限界だった。



もういやだ、なんでこんなゴミ溜めで暮らさないといけないんだ、もう無理だ、限界だ、汚いよ、誰が散らかしたんだよ、片付けろよ、もういい加減にしてくれよ、でもどうしても捨てられない、なんで捨てられないのかもわからない、もう自分の頭で考えたくない、捨てる決断をしたくない、「これって捨てていいんですか?」、そう誰かに聞いて楽になりたい。




「高かったし」
「いつか何かに使うかも」
「まだ壊れてないし」
「捨てて後悔したくないし」

頭をよぎるのはこんなことばかり。
捨てたいなと思っても「でも」「だって」「だったら」「どうせ」と思い結局捨てられずにいる。

だけどもう、汚部屋で暮らし続けるか、捨てる決意をして汚部屋を脱出するか、もうこのどちらかを選ぶしかなかった。



今回書き記すのは、私がゴミ屋敷を片づけたときのお話。

ずっと一緒に寝ていたぬいぐるみ、亡くなったばあちゃんが編んだセーター、ガチャガチャのコレクション、たくさんの本と同人誌、昔の日記と手帳と勉強ノート、プレゼントでもらったあれこれ。

ぜんぶ手放してこんな部屋を手に入れた。

「どうしてもモノが捨てられない」
「でもいつかはすっきり片付いた部屋で暮らしたい」

そんな人にぜひ読んでほしいお話だ。

かなり生々しいからメンタルが弱ってる人は絶対に読まないでね。

それでは、どうぞ。




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