あわく、あおく、とわに。
憶えていないこと。
学校で習ったほとんどのこと。
ほとんどの先生の顔。
屋台で買って、食べたもの。
一緒に見た、打ち上げ花火。
着ていたワンピースの形。
あの頃君が、聴いていた曲。
よく利用したコンビニ。
一緒に立ち読みした雑誌。
もらった指輪のデザイン。
君の部屋に忘れていったこと。
2番目に乗っていた車。
迎えに来てくれた時間。
喧嘩した回数。
最後に君に放った、言葉。
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憶えていること。
授業中にわりと堂々と読んだ小説。
君がノートの端に書いた、
似てなくて笑える先生の顔の落書き。
知らせもせずに、
君が浴衣を着て来たこと。
人混みのなかで手を繋いだこと。
わたしがハマってた期間限定の紅茶、
君が知っていたこと。
何も言わずに買ってきてくれたこと。
褒めてくれたワンピースの色。
片方ずつ分けた、イヤホン。
もらった指輪が、大きかったこと。
一緒に直しにいったこと。
ハンドルを握る、君の右手。
わたしの右手を握る、君の左手。
最後に見送った、後ろ姿。
最後に君が落とした、『元氣でね』。
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ここに在るのに、まるで泡。
触れたいけれど、消えそうで。
消えそうだから、触れられない。
セピアになっていく記憶の中で。
どうか淡く、青く、
永遠に。
flag *** hana
今日もありがとうございます♡
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