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管理人のおじさんからのプレゼント

チャイムが鳴り、玄関の扉を開けると学校から帰ってきた子供が花の植木鉢を持って立っていた。

「管理人のおじさんにもらった!!」

管理人のおじさんは同じアパートの住人兼管理人をしている。
(管理人のおじさんとの出会いはトルコで引っ越しのために家探しの№5,6,7と番外編に書いています。こちらも読んでいただけるとうれしいです。)

今年の春ごろに道を挟んだ向かいのアパートの一階に花屋ができ、夏ごろから管理人のおじさんをその花屋でしょっちゅう見かけるようになった。理由は、そこが涼しいから。花屋の店先に椅子が置いてあり、そこによく座っている。時には店の中のテーブルで何か書いていたり、読んでいたり、花屋の店主の方が若いため、67歳という管理人のおじさんの方がオーナーのように見える。

店の前を通るとき、おじさんがお茶を飲んでいるとお茶を飲んでいけと誘う。トルコのチャイやトルコ珈琲、暑い日は冷えた炭酸水だったり。だけど、それらを用意するのは店の店主。用事で出掛ける時に声を掛けられるので、残念ながら一度しか一緒にお茶できなかった。
日によっては、管理人の奥さんや管理人さんが仲良くしているアパート内の住人がいたりしてにぎわっていたりする。時には管理人さんの知り合いも一緒に座って話している。花屋さんは迷惑していないのかなと思って見てしまうが、黙々と仕事をしている日もあれば、一緒にお茶を飲んだり軽食を食べたりしている。問題ないようだ。私は毎日のように来られるとちょっと苦手だけど、そういう所をあまり気にしないトルコの人たちの性格はいいと思う。

トルコの小・中・高校の新学期が9月6日から始まり、私の子供は中学校5年生になった。(トルコは4年制で、小学校1、2、3、4年生。中学校5、6、7、8年生。高校9、10、11、12年生となっている。)
小学校から中学校に変わり、新しい学校、新しい先生、新しい友達。色々と環境が変わり忙しくしていた矢先にもらったお花のプレゼント。子供が学校から帰ってきた時にいつものように花屋にいたおじさんが、子供に店の中の花をおもむろに選んでプレゼントしてくれたらしい。管理人のおじさんからの入学祝い?と子供と話す。もらった花は「ハナキリン」。植物のことはあまり知らないので調べてみると、気温を一定に保てるところで育てると、一年中花を咲かせることができるらしい。

秋の風が吹き始めて涼しくなってきたら管理人のおじさんの花屋通いはしばらくお休みになるのかなと考える。外に出たときに、今日も管理人のおじさんは花屋さんにいる?と見るのが密かな私の楽しみではあったので、そうなるとちょっと残念な気もする。





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