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『E.E.A.A.O』

2023年 3月15日 水曜日 の日記

※後半では『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の感想を述べています

※細かいストーリーのネタバレはしませんが、本編を見るとあれはネタバレだったのかと気づくような話はします

※結果的に未視聴者には不向きとなっています

※私自身、映画の予告さえ見たくないほどにネタバレを嫌う性格なので

※だって予告って予告じゃなくて総集編だもん

※想像力、妄想力がある私には予告でさえ本編だもん(おっ なんかドラえもんの親戚みたいだな 本編だもんって)

※そうか?

※ということでネタバレ注意です。



日常日記

・起きた。映画の上映時刻に間に合うには家を11時10分に出ればまあちょうどいいだろう。どうせ誰とも会わないし、他に寄るところもないし、気温に合わせたいい加減な服装に、帽子を被って出かければいいや。そうしてぎりぎりまで眠っていた。11時、前日の飲酒と夜更かし、そしてだらけ癖がたたってか、キャンセルという文字が頭に浮かん。たった一分の思考の中で、人類が猿から今の人の姿になるまでに費やした時間に及ぶような葛藤があった。


・「キャンセル───ノットキャンセル───眠い───明日───話題───アカデミー賞───キャン───友達に感想を伝える役目───行こう」


・最終的には飛び起きてバッと服着て帽子被ってうがいだけして揚々と出かけたんだけど、そもそもそんなに観ることに乗り気ではなかった。Twitterでフォローしてる人みんながおもしろい面白いとつぶやいているのを見て、逆張りで観たくないなと思っていた。けれどアカデミー作品賞とってしまったから、人生のノルマとして観ておかなくてはいけなくなったので、前日に予約して急遽迎えたのがこの日ってわけ。


・映画館に着き、いつも通りに予約発券をする。最近はQRコードを入場前に見せるだけで入れるけれど、半券をコレクションしておきたい私は迷わずこの日も発券をする。古い半券で言えば、自分が高校二年生頃のも残ってる。


・入場開始。席について周りを見渡すと年上の女性が多いのが印象的だった。40代くらいかな。それに次いで年上の男性の姿が多い。もしかしたら主演の「ミシェル・ヨー」と同世代の人たちなのかな。同じ世代の頑張る姿を観てみようとやってきた人たちなのかもしれない。そう思いながら静かに上映の時間を待った。


・ミシェル・ヨーって60歳なの!?ここ最近だと『ハムナプトラ3』や『シャン・チー』の印象がが強くて、ほえ~40代だと思ってた。え!『ガーディアンズ2』にも出てたの!?あーいたいた!(ネットって便利。いろんな情報が繋がりに繋がっててすぐに結果が出てくるから)


・いくらか泣いてしまった。流れてきた涙がマスクの隙間を通り口に入ってしまうほどに。ここ最近、観た映画全部で泣いてる気がするな。


・上映後、劇場を出た瞬間から、感想を脳内でまとめ始めた。映画館を出て駅に向かう途中で少し気が変わり、近くのブックオフに行く事にした。その先の道でなんだか似ている、後姿が似ている女性を見つけた。元恋人に似ている後姿だった。付き合っていたのはもう4年以上前の事。もしその人なら少し話したいと思った。男ってのはだいたいそう。思い出を振り返りたくなるもんだから。愛されていたということ、自分は誰かに愛される人間である実感を得てそれを糧にしたいと思うから。けれど私は顔を確認する事さえしなかった。


・帰りの電車では脳内にあった感想を、メモ用のLINEトークに書き残した。それを元にこのあとの感想文を書こうと思う。




エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス


※映画に対し、否定的と思えるような言葉を使いますが、結論「めっちゃ面白かった」なので最後まで読んでください。




私の感じたこの映画への総評、



「ヴィレッジヴァンガード映画」




どういうことだかわからない人が大半だと思うので私の脳内を解説します。

まずヴィレッジヴァンガードという雑貨屋の説明は飛ばすとして、本編では根拠のないその場の思いつきのような展開がいくつか続き、めくるめく映像の切り替わり、服装や髪形の変化がありましたよね。私はそのランダムとも言えるような移り変わりを目にしながら、鑑賞中に「ヴィレヴァンに来てるみたいだ」と思った。


今までマルチバースの映画をいくつか観てきた私にとっては、今回の展開が新鮮だという印象は無かったけれど、マルチバースを思う存分使った映画、というかマルチバース作品で思いつくことを思いつくだけやって、しかも全てやり切ってしまっているような感じを抱き、私は「こういうことってしていいんだ」と思った。もっと中心となる核があってそれを軸に物語を作っていくのが評価される映画だと思っていたので、正直これでアカデミー作品賞とっていいのか?と思いながら観てしまった節がある。


ヴィレヴァンの話に戻る。以下の文は、見た直後にツイートした文章のそのままの書き写し。

エブリシングエブリウェアは、初めてヴィレッジヴァンガードに行った日のことを思い出させてくれたし、それに似た興奮を感じた。当然ヴィレヴァンに行ったことない人にとっては、何だこれ凄いと思わされる映画だろうな。面白かったことには変わりない。

そう。ヴィレヴァンに初めて行った日の事。上京するまで田舎暮らしだった私の初めてのヴィレヴァンは大学生の頃。衝撃だった。こんなにユーモアに溢れた雑貨屋さんがこの世にあったのかと、「楽園」と思えるほどの空間だと感じたものだ。何度も通ってそのたびに新しい物を見つけ興奮していた。余談になるけど、よくネックレスも買っていた(これを機に気付いたけど、金属アレルギーだった)。逸れそうになったけど、話が。


行き慣れてくると実際には買うものなんて何もないことに気付くんだよね。でっかいお菓子はいらないし、知らん海外旅行の本もいらないし、お香も、ステッカーも、ジョークグッズも、18禁ジョークグッズも。けれど見つけるたびに、近くに行くたびに入ってしまうんだよね。


何が言いたいかと言うと、今回人気になったのは、マルチバースの世界に触れるのが初めてだった人が多かったからじゃないか、そして、その第一回目ですべてやり切られてしまったが為に、この映画はとんでもないものだと思ってしまったんじゃないかと私はそう思うのです。最初に言ったことをもう一度言いますが、めっちゃ面白かったです。


世の監督たちは「してやられた」と思ってるんじゃないかな。けれどもあのぐちゃぐちゃになると心配になるような展開を最後に美しくまとめたのは見事だったと思う。だいぶ上の上の目線な意見を下の下からしてますけど、アカデミー監督賞には納得です。


観ながらある一つの動画を思い浮かべていた。それがこちら。



さて、ここから少しだけこの映画の苦手なところを言います。

・なんか起こるぞと思わせるような音(起きない)
・海外的な下ネタ(A24苦手で、下ネタ無理な映画仲間に勧めにくい)

以上。


最後にひとことふたことみこと。

・戦闘時に使われた武器が日常的なものを活用していたのが良かった。事前に考え抜いた武器なんだろうけど、その場のテンションで決めたようなアイテムばかりなのが良かった。あれ考えるの楽しかっただろうな。もし監督が私に助言を求めてきていたら「(打ちながら考え中・・・・)クイックルワイパーなんてどうですかね」と答えれるかも。そうして「クイックルワイパーってなに?」って聞き返されるんだ(全然おもいつかなかった!)。

何か日常的なもので武器として使えるもののアイデアあったらください。


・今日気づいたけど、監督は「スイス・アーミー・マン」も撮ってるんだね。実はブルーレイ持っている。あの映画もはちゃめちゃな設定でぐちゃぐちゃだけど最後は美しく終わる映画だった。今回のエブエブはその上位版と言っていいのかもしれない。なんて言えばいいかな、きっと戸惑っているんだと思う。スイスアーミーマンのような面白さをより広げて拡げてすべて出し切ってしまったことに。なんと言うべきか、上記でいくつか否定的とも思える発言をしているのは、みんながこの作品を面白い面白い言うことへの逆張りというか、嫉妬なのかもしれない。私は映画監督でもないし、映画を撮ったこともないけどなぜか嫉妬してしまっているんだろう。誰かを撮ったことも技術を学んだことも無いけど、映画監督になりたいという将来を描いた時期はあるし、実は今でも撮ってみたいとは思っている。文がめちゃくちゃになってしまっているな。とにかく、私もいろんな自分の将来の姿を思い描いたことがあるから、うん、この映画の主人公にだいぶ感情移入してしまってめっちゃ泣いてしまった。うん。最高だよこの映画は。



さて最後に私の真の結論とその話を少しだけして終わります。ここまでお付き合いありがとうございます。



この映画は、




「キー・ホイ・クァン映画」





やられたよね。キー・ホイ・クァンには…。最後の最後であの人の映画だと思わされるくらいにもってかれたよね。今思い出しても泣けてきちゃう。あの優しさに少し自分を重ねてしまうというか。そういう男性は多かったと思う。なかなかああいう優しい男性はいないと思うけど(自分がそうだと言ってるように聞こえるだろうけど)、この映画をみた何人かの男性はキー・ホイ・クァンの演技に圧倒されたと思う。今日調べて知ったけど、助演男優賞なんだね。ありゃあたりまえだよ… 私の中でアカデミー作品賞をこのエブエブがとったその多くの要因は、キー・ホイ・クァンによるものだと思ってる。とにかく私はそう思っている。愛したいのに愛しているのに愛を感じれない時、自分はそれでもいいんだと、そういう生き方でもいいんだと自覚しているんだけどやっぱり寂しくて、自分が優しい分、愛する人の優しさに気付きやすくて、逆に言えば優しさが無いことにも気づきやすくて、その優しさではない厳しさには満たないあるものが自分ではなく、他者に向けられるものであるほどに自分が傷ついて、そういう感じわかるなって。それらをキー・ホイ・クァンの演技から感じた。これさすがに伝わんないよね。でもキー・ホイ・クァンのすごさはみんな感じたと思う。うんうん。


映画の事ではあともう一つ。これはアジアの人間だからこそ作り上げられることが出来た作品だと思う。言うなれば中国の文化や歴史があってこその作品になっていると思う。主演や配役がアジア人では無い作品だったらまったく別の作品になっていただろうし。そういう所もこの作品の素晴らしさの一つだと思っている。


映画を観る前のアカデミー賞授賞式のスピーチを見て、私はすごいなーと思ったけど、日ごろ目にする感心ごとの一つに過ぎていなかった。映画を観た後、同じスピーチを見るとよりその「すごさ」が伝わってくる。大げさに聞こえるかもしれないが、時代の変わる音が聞こえた気がした。


まだ読んでくれてる人いる?もう終わるからね。

ツイッターでは、友達に勧めるか迷うなんて言ったけど、こうして思いを書いているうちにその考えが変わった。勧めよ。でも絶対見てねなんて言うとその子も逆張りっちゃうから「まあ見た方がいいよ。時代の波に乗るために」なんて風に勧めようかな。

おわり



おやすみのあいさつ

帰り道で元恋人の後ろ姿に似た人をみつけた。結果的に顔を見ることさえせずに別の道に行ったけど、あの瞬間に顔を見に行っていたら私の人生は分岐するだろうな、なんてにやにやしながら思ってた。映画観た直後だったし。本人だったとしても、そうじゃなかったとしても、急ににやにやした目の人間が顔をちらちらみてきたら怖いだろうな。その目をかわいいと思う分岐だったり、セクシーだと思う分岐だったり、どんな分岐、人生の変化があるかわからないけど、ただ信じて、今の自分が選んだ道をそのまま信じて進むべきなんだという前向きな気持ちになれた。この映画のおかげで。

でも想像力、妄想力がある私は、いつどんな転生者や、急に「世界を救って」なんていう美少女が来ても対応できるような心構えですごしている。

猫がさあ、急に人間の言語で話かけてくるのもいいよね!うん!

さて、たくさん文章を打っておなかが空いたのでカレー作ってきます。おやすみなさい。さようなら



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