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本屋がなくなる街

身近にある書店がどんどん消えている


「開店閉店.com」というサイトがある。名称どおり、全国にあるさまざまな業種の店舗の開店と閉店情報を募って掲載している。開店情報はPRしたい店舗関係者が情報をどんどん売り込むのだろうが、私がチェックするのはやはり地元の閉店だ。のんべんだらりとした毎日において、「えっ、あの店がなくなっちゃうの?」というビックリ体験はちょっと異質な感覚だ。
 

 「文教堂書店赤坂店」が6月で閉店し、これで赤坂駅周辺に一般書店がなくなる、という。中規模書店としてしっかりした品揃えの店だった(まだ営業しているので過去形にしてはいけないのか)。

 読書を趣味にする者にとって街の書店は情報収集の場であり、逍遥するだけでも楽しい憩いの場でもある。自分も利用したことがある書店がまたひとつ消えることはとても大きな寂寥感がある。

「去る者日々に疎し」

 たとえ通り慣れた街でも、ぽっかりと空き地になっていることにある日気がつくと、かつてそこに何かあったかを思い出すことができない。我ながら「冷たいものだなあ」と思う。

 姿を消した東京の書店を思い出そうとしたが、あまりたくさん羅列することができなかった。「去る者日々に疎し」とはこういうことなのか。

 霞が関ビル「書原」、五反田「明屋書店」、神保町「書泉ブックマート」・・・。それぞれの店にその店なりの書棚の個性があった。

大きな流れに抗うことはできないのか

 私の街ではことしになって2軒の書店が相次いで廃業した。それでも幸いなことに、自宅最寄り駅の駅ビル内に書店があるので、数日おきに店内を“巡回”することができる。また、これとは別に10分程度歩けばかなり大きな書店もある。こちらは書棚の並びが変則的なうえに文具の売り場が不必要に“デカい顔をしている”のが趣味に合わないが、それでもそこに存在してくれるだけでなんだか心強い。
 
 街の書店の苦境の原因はさまざまだろう。

 Amazonに代表されるネット書店の興隆、インターネットによる日本人の書籍離れと雑誌離れ、売れる本と売れない本の二極化、少子高齢化、、、。

 なんとか応援しないと日本の出版文化が大きく変質、果てには崩壊しかねないという気もする。それでもこれだけ乱読が習慣化すると、すべてを新刊で買い揃えるのは金銭的にも保管スペース的にも厳しいところ。図書館のお世話にならないわけにもいかないのだ。
(22/5/10)

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