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「知的謙遜」というイノベーションの絶対要件

知的謙遜。

新しい体験や情報にオープンであることに加え、重要事案について意見を変える柔軟性を持ち、いつそうすべきか心得ていること。

騙されやすいと頑固の間。

他人の価値観を尊重し、自身を過信せず、感情や背景を差し引いて議論出来ること。


なぜ知的謙遜が現代に求められるのか

知的謙遜が今求められているのには3つの理由があります。

まずは、デザイン思考の台頭です。

デザイン思考とは、革新的なサービスを開発するための思考法です。

新しい体験や情報に心を閉じ、柔軟に意見を変えられない人間に、イノベーションを起こすことは不可能です。

次に、イデオロギーや価値観の衝突です。

中米衝突、イスラエルとパレスチナ、IS、LGBT問題、日本憲法改案。

ご存知の通り、今世界では多様な価値観の衝突が頻発しています。

これらの背景にあるのは、「知的謙遜」の欠落、つまり、他人の価値観を尊重し、自身を過信せず、感情や背景を差し引いて議論する能力の欠如にあります。

最後に、フェイクニュースの普及です。

インターネットが普及した今、誰もが情報の発信者になれる素晴らしい時代がやって来ました。

しかし、時を同じくして、嘘の情報をばらまき、意図的に政治や経済を操ることで民主主義の根幹を揺るがす輩も出て来たました。

フェイクニュースに騙されてしまうのは、批評能力の欠如が原因です。

何かを批評するには、物事の多面性を理解する能力が必要であり、その根本をなすのが知的謙遜なのです。


知的謙遜の育み方

知的謙遜は、生来身についている能力ではありません。

知的謙遜の3つの要素である「他人の価値観を尊重し、自身を過信せず、感情や背景を差し引いて議論する能力」は、例えば以下の手段によって鍛える事ができます。

他人の価値観を尊重するために出来ること:

・相手の道徳観の背景を知る
・相手のストーリーに感情移入する
・楽しい体験を相手と共有する
・自国以外を旅行する、異国の小説や映画を嗜む、言語を学ぶ


自身を過信しないために出来ること:

・多様性なき集団は、最も頭脳明晰な人一人分以上の成果を出せないことを理解
・「間違ってるかもしれないが」と予め可能性を認める
・「絶対、必ず、明らかに」という言葉を避ける
・分からない事は素直に「今はまだ」分からないと認める


自らの感情や背景を差し引いてするために出来る事:

・自らが感情的になりやすいトピックを知る
・自らが真に恐れていること(感情のトリガー)を知る
・視点を共有する時は、個人のアイデンティティを紐付けない
・瞑想する


最後に

(Image Credit: 宝島社)


昨日、以下のニュースが話題になっていました。


日本のジャーナリズム、報道の自由の失墜が叫ばれて久しい昨今、非常に強い意思を感じる広告です。

しかし、ただ単に「嘘をついてるのはお前だ、お前が悪いのだ」のやり合いとなれば、議論は平行線を辿るばかり。

社会が「止揚(アフウヘーベン、シンセサイズ)」することはありません。

一億総活躍社会の前提として、自身の信条すら疑う余地があることを、誰もが認められる一億総知的謙遜社会を市民が主体的に育くんでいく必要があるのです。

私も、自身の信頼するイノベーションマネジメント手法について、日々批評的な眼差しを持って皆様に発信できれば幸いです。

以上、noteマガジン「イノベーションマネジメントを疑う」よりお送りしました。


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