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【オリックスバファローズ、祝パ・リーグ連覇】個人的に印象に残った出来事をたんたんと並べます

2022年のパ・リーグはソフトバンクとのデッドヒートを繰り広げたオリックスが大逆転で連覇を達成しました。このnoteでは個人的にレギュラーシーズンで印象に残ったこと、感じたことを列挙したいと思います。

【3月:1勝5敗】12年ぶり開幕戦勝利

西武との開幕戦、山本由伸投手の好投によって12年ぶりに開幕戦の勝利を飾ったものの、2戦目から一転して一気に5連敗。今シーズン負け越すことになる西武・楽天戦が立て続いたことから、苦しいスタートとなりました。

【4月:14勝9敗】佐々木朗希投手による完全試合

4月10日は言わずもがな、ロッテの佐々木朗希投手による完全試合を決められてしまいました。個人的には「残塁ゼロで終われたのがせめてもの救いってことにしよう、そうしよう」と無理やり錯覚しつつ、28年ぶりの快挙に敵味方関係なく拍手しました。この直後、チーム内で新型コロナウイルスの感染が拡大し、仙台での楽天戦が中止となったように、まだ万全で戦える形が出来上がっていませんでした。

この時期は4点以上取れる試合が少なく、平野投手のセーブで僅差の試合の白星をなるべく拾い集め、4点以上のビハインドがある場合は無理して追わないドライな割り切り方をしているようでした。チーム状態が良くないように見えた4月、終わってみれば貯金5もできていたのは驚きの一言です。

【5月:9勝15敗】GW7戦7連敗

月が替わってゴールデンウィークに突入すると最大3点しか取れない貧打の試合が続いて(ホームランは頓宮選手の1本しか出ず)7戦7連敗。チームが後退したことは多少ショックではありましたが、当時はそれほど悲観的には考えていませんでした。自分はペナントレースをこういった感じで競馬に例えます。スタート直後に首位を奪って他のチームからひたすら逃げ続けるよりも、後位追走してゴール直前で首位を差す方が体力的にも精神的にも楽だ、と。

5月10日、楽天は貯金18で首位を独走していましたが、理想を言えばこのタイミングをペナントレースのゴールに合わせるべきでした。勝ちまくるのは一見良いことですけれど、勝ちパターンの中継ぎと抑え投手の体力を早いペースで消耗していきます。序盤早々から投球過多でチームの息が上がってしまえば、火のついた終盤で強く競り合うことができなくなる恐れがあります。これは例年の阪神との共通点でもありますね。

阪神は開幕から飛ばして貯金を10前後積み上げる開幕逃げを敢行して、終盤に失速するのが恒例になっています。しかし今年は珍しく、開幕逃げの時期が1ヶ月ほど遅れて始まりました。去年優勝をかっさらわれたヤクルトに対して何が何でも勝たなければならない開幕戦、大差勝ちしていた終盤に何を思ったか、勝利よりも勝ち方に固執しているとしか思えないような選手起用をした結果、あり得ないひっくり返され方をされて悪夢の開幕9連敗の発端となりました。そのまま負けは込み、4月21日には早くも借金が16にまで膨れ上がりました。

この借金を3ヶ月かけてオールスター直前に見事完済し、CS進出を決められたのは12球団トップの投手陣(チーム防御率2.67)の功績でしょう。失策数リーグ6位の86と、負担がかかりながらの記録ですから本当に驚異的です。開幕逃げの期間以降、更に上昇していけるかどうかは野手陣の奮起にかかっていましたが、得点・HR数リーグ5位ではさすがに厳しかったようです。

実のところ、オリックスもリーグ内では得点4位・HR数6位・失策数4位と投手陣に負担をかける成績だったので、優勝のキーとなるのは投手起用のペース配分と負担分散なのでしょうね。3ヶ月で貯金を16も作れると考えると、前半は無理せず勝率5割程度で足をためておき、後半3ヶ月のロングスパートで首位を差しにいくスタイルの方が阪神は優勝を狙いやすい気がします。

【6月:12勝9敗】得意(?)の交流戦負け越し&山本由伸投手ノーヒットノーラン

2021年、オリックスは交流戦優勝を果たしましたが、2022年はセ・リーグが意地を見せてオリックスは苦戦しました。とりわけラスト5連戦、去年日本一のヤクルトの後ろ2戦と、1ヶ月遅れの開幕逃げから好調を維持する阪神3連戦を全て落とし、交流戦は8勝10敗と負け越してしまいました。リーグ戦に戻ってからは、杉本選手・中川選手の調子が上向いてきたこともあり、6月は貯金3で終えることができました。18日には、山本由伸投手がノーヒットノーランを達成しましたが、ほぼ毎試合支配的な投球をしているので逆に記憶が薄かったりしますね。

【7月:15勝9敗】絶好調中川選手、杉本選手同点3ラン

7月は中川選手が絶好調で得点力がアップし、チームは貯金を6つも増やすことができました。印象深かったのは29日のZOZOマリンでの杉本選手の9回同点3ランですね。去年のT-岡田選手といい、今年の杉本選手といい、ZOZOマリンの3ランはオリックスにとって何かしらツキを運んできてくれるのでしょうか。

【8月:12勝10敗1分】釧路での日没コールド、中嶋監督離脱からの宮城投手プロ初完封

23日、釧路で7回終了後日没コールドがありましたが、この1引分が最後の優勝争いの成績に関わってくるとはこの時全く予想していませんでした。

8月は何といっても中嶋監督の新型コロナウイルス陽性によるチームからの離脱でした。26日、水本監督代行が指揮した西武戦に敗れるとともに三度目の自力優勝消滅となり「大丈夫かなぁ」と不安になり始めました。この翌日、宮城投手のプロ初完封によって「まだ行けるぞ」と勇気づけられたのをよく覚えています。

【9月:13勝8敗1分】記憶に残る「全員で勝つ!」

9月は「全員で勝つ!」を体現するかのように、日替わりでヒーローが生まれる戦いをしていたように感じられました。その中で特に印象に残ったものを列挙しておきます。

・渡部選手のシーズン初単独首位に導く満塁からのプロ初ヒット初打点
・西野選手の2試合連続猛打賞をはじめとする固め打ち
・福田選手の2死三塁からのサヨナラセーフティスクイズ
・吉田正選手の対ソフトバンク最終戦9回起死回生の同点タイムリー
・宗選手の対ソフトバンク最終戦サヨナラ打とロッテ戦での本塁突入神走塁
・山本投手、対ソフトバンク3連戦初戦完封&9月4連勝
・宇田川投手&山﨑颯投手&阿部投手の鉄壁とも言える快速球中継ぎ、抑え
・能見投手、痺れる展開となった引退試合での有終の奪三振

印象深いシーンが並びます

9月は山本投手と打撃絶好調の吉田正選手を軸に投打の歯車がかみ合い、マジックを点灯させていた首位ソフトバンクに対して直接対決3連戦3連勝を決めてゲーム差をゼロとするなど、振り切られないように必死の追走を続けました。

最終盤、試合日程に余裕のあるオリックスの方が有利と見られていましたが、ソフトバンクはホーム5連戦で3勝してマジックが3となり、形勢はソフトバンク優勢へと傾きました。ソフトバンクの懸念材料は中1日を挟んでのラスト4連戦を仙台→所沢→幕張の順に飛び回る過酷な日程でした。しかし移動の疲労も何のそのというべきか、仙台での2連戦を連勝してあっさりとマジック1とし、2年ぶりのリーグ優勝に王手をかけました。

【10月:1勝】パ界の一番長い日、決着の2分間

オリックスの優勝にはシーズン最終戦の勝利とソフトバンクの残り2試合の連敗が絶対条件となり、単純計算での優勝確率は1/27(約3.7%)と紙のように薄く、もはや絶望的と言える数字でした。

10月1日、ソフトバンクー西武戦は息詰まる投手戦となり、9回表に柳田選手の起死回生の同点ソロホームランで延長戦に突入します。11回裏、あと4つのアウトを取れば引き分け以上で優勝が決まる場面から西武の山川選手に多投していたフォークボールを捉えられ、サヨナラ2ランを被弾しました。打たれたバッテリーは泣き崩れていましたが、まるでチームが完全に優勝を逸したかのような雰囲気を招くこの涙には少し違和感を覚えました。個人的には次のように推察します。

ソフトバンクは絶対的に有利な立場にはいたものの、9月中ずっと背後霊のように張り付いてくるオリックスを振り切れなかったことで、徐々に徐々に心理的に追い詰められていったのではないでしょうか。それが負の感情となってこの試合で漏れてしまったことは、チームに悲壮感が漂うだけでなくオリックス側に希望を与える意味でも悪手だったかもしれません。僅差における先行逃げ切りと後追いではプレッシャーのかかり方が全然違うことがよく分かります。

正直なところ「単に今日の優勝が明日になっただけ」と、余裕を感じる受け止め方ができていれば今年はソフトバンクで決まりだったでしょう。数年前、自分が京セラドームで見ていた日本シリーズを何連覇もするソフトバンクはそんなチームでしたから。何はともあれ、オリックスは1/3の確率を引いて2日の最終戦を全力で戦う理由が生まれたのでした。

2018.07.08. Bs0-H8(この日は柳田選手の5階席への特大HRが見られました)
2018.07.08. Bs0-H8(今年退団される松田選手の打席)

10月2日の早朝、自分は5時半から2時間ランニングをして最終戦に備えました。デーゲームの阪神ーヤクルト戦では阪神がCS進出を決めていた余裕からか、開幕戦の再現とばかりに終盤に試合をひっくり返されていて頭を抱えました。延長戦は18時になっても終わらず、ついに仙台と幕張で運命の二試合のプレーボールがかかりました。その後の展開は報道の通りです。

前半戦、ソフトバンクは三森選手の先頭打者ホームランと柳田選手のソロホームランで2点をリードしましたが、少年時代オリックスファンだったという山口選手がZOZOマリンの空に浮かぶ月の方へ放った3ランで逆転し、形勢はそのままロッテの方に流れていきました。やはり、ZOZOマリンでの3ランはオリックスにツキを呼んでくれるのでしょうか。

同じ頃、オリックスは2点ビハインドからすぐさま3点を返して逆転に成功し、絶体絶命の状況から一転「もしかしたら……もしかするぞ……」と信じられない展開に色めき立ちました。9回表には伏見選手がダメ押しの2点タイムリーを放ち、勝利を大きく手繰り寄せます。9回裏は平野投手ではなく、阿部投手がセーブしてそのまま勝利。試合終了後のわずか2分後にソフトバンク敗戦が伝わり、ほぼ無いであろうと思われた1/9の確率を引いて戦績が並び、直接対決で上回ったオリックスが奇跡の大逆転優勝&パ・リーグ連覇となりました。

9月以降のオリックスは痺れる試合が続き、そして意味不明なほど神がかっていました。2018年4位・2019年6位・2020年6位と苦しかったシーズンを観戦していたからこそ、余計に嬉しく思います。叶うならば、去年ほっともっとフィールド神戸の空に舞った高津燕に再チャレンジして欲しいなぁと思いますねぇ。

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