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諸概念について

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日常
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#日記

感覚忘却

感覚忘却

蒸し暑くて寝付けないような日々が続く。昨日は40分ほどしか寝れていない。煙草を吸うとクラっと来る。シャワー浴びて誤魔化す。誤魔化す、という単語が出てくるのに時間が掛かった。僕はそんな簡単な日本語すら忘却していたことになる。こんなに恐ろしいことがあるだろうか?両親の顔、恋人(配偶者)の顔、友達の顔、恩師の顔。それらも時間は忘れさせる。何か事象を忘却したのであれば思い出せるように写真を見たり会いに行け

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鳥と9歳

鳥と9歳

小学三年の時、夏休みの自由研究に父親にアニメ制作のスクールに連れて行かれた。アニメとは言っても所謂アニメーションではなくストップモーションと呼ばれる粘土細工を少しずつ動かしては撮影し、それを繰り返すという形式のものだ。子供の頃の僕は羊のショーンというアニメが何故かとても恐ろしくてその手のアニメーションは苦手でどちらかというとワンピースなど2Dのアニメが好きだったのだが。後で聞いた話だけど僕が休み時

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Watercolor

Watercolor

数年前の夏休み、僕は美術予備校の夏季講習に参加していた。デッサンもままならなかった僕はまず丸を描くことからやらされたのだが最初の一週間のうちからやらかしてしまった。徹夜で"水彩の惑星"という小説を書いていたため、退屈な静物画デッサンの途中で居眠りしてしまったのだ。すぐさま塾長に個室に呼び出されて説教されるかと思いきやそんな事はなくやんわりと「君はどんな人なの?」ということを聞かれた。塾長はなんでも

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生活音

生活音

夕方、僕はうとうとしていた。遠くで誰かが笑う。街中で暮らしていると大学生くらいの若い大きな笑い声が聞こえて来たりする事はしょっちゅうある。それが僕の耳に入る時の音量が何dbなのか分からないが隣人の悲鳴などよりよっぽど胸を締め付ける。それは恐らく僕にとってああいう風に道端で友人達と笑い合った経験があまり良い思い出ではないからなのだろう。僕の人生はあまり良いものではなかった。まだ四半世紀にも満たない時

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