求人広告を作ったら必ずやること
さて、8月1日のこの投稿からはじまった「求人広告のコピーの書き方」ですが
先週のデータの書き方でいったん、コピーについてはひと通り終わったかなと思います。あとは考え方とかテーマの捉え方なので、それはこれまでにもさんざん書いてきたかなと。
ここから先に具体的にレクチャーできることはあるのか?とちょっと考えました。ちょっと考えたところ、そうだ、いまリアルタイムでやっていることもひょっとかすると人によっては「なるほど」となるかも、と結論。
と、いうことで今回は求人広告を作り終えた後にもやるべきことがあります、というお話です。
掲載日までにやること
作った求人広告が承認され、無事入稿の運びとなりました。そこでやることは掲載企業、つまりクライアントのホームページのチェックです。
もしクライアントのホームページはない、あるいはあっても阿部寛のホームページと遜色ない仕上がりならば、黙ってPCの電源を落としましょう。
(日本最速のホームページです。瞬時に表示されます)
クライアントのホームページのどこをチェックするか、ということですが、もちろん「採用」のページになります。
最近の企業は採用ページにもそれなりのお金とリソースを投じて、なかなかな見栄えのものを用意していることがほとんど。ところがその更新性となると、実はあんがい鈍重だったりします。
新卒採用のページは年一回のリニューアルで充分だったりしますが、適宜ニーズが発生する中途採用に関しては自社採用ページに募集情報が載っていなかったり、載っていても画一な情報だけということも。
ここ、実はマメにいじったほうがいい。
もちろん中にはちゃんとやろう、という志を持って中途採用のページに「現在募集中の職種はこちら!」と求人媒体へのリンクを用意している会社もあります。ごく少数ですけど。
そんな場合でも担当変更の憂き目にあったりサイトローンチ時の情熱がすっかり消えてしまったり、ということは往々にしてあるものです。
いちばん困るのは求人媒体に掲載されているホットな情報と、自社のホームページの採用コーナーに載っている情報に乖離があること。求人サイトで見つけた気になる会社のホームページは100%検索されます。見るな、といっても見ます。
求人広告では『絶賛募集中!』とウエルカムモードのくせに肝心の本体にお邪魔すると『Sorry,under construction』って。ツンデレかよ。
もしかしたら求人媒体に掲載した広告を見て興味を持ってくれた求職者がコーポレートサイトの採用ページを見てさらに応募動機を高めてくれるかもしれないのに。その求職者がドンズバのターゲットかもしれないのに。
このあたりを雑にやらないことです。
釣りをやる人はきっと、めちゃくちゃ用意周到に準備すると思います。その理由は釣りをやる人ならわかると思います。
情報の粒度を揃えること、そして受け皿を整えること。これが掲載までにやっておくことです。
掲載日にやること
求人広告が掲載されている媒体(おそらくは求人サイト)のトップページから求職者が取るアクションと同じステップで該当する求人広告をサーチしてください。
間違ってもサイト内で「社名検索」はしないでくださいね。あなたが手掛けた求人広告がGAFAあるいはトヨタソニー楽天パナソフトバンクサイバーANA任天堂サントリーみたいな「うん知ってる」系企業なら話は別ですが。
ほとんど、いや、求人広告を出稿する99,999%の企業は無名です。
そんな、聞いたこともないような会社の社名を検索するか?普通に考えて。
だけどついめんどくさくてやっちゃうんですよね。便利だから。でもそれでは本当の相場観はつかめません。求職者がやるように、職種や経験の有無、給与額、エリア、その他検索軸に希望条件を入力して検索しましょう。
その上で、検索結果の何位に食い込んでいるか。
まずココを確かめましょう。ほとんどの求人サイトではプランごと順位が決まっていて、資本主義である以上、よりたくさんの金子を納めた会社の情報が上位表示される仕組みとなっています。
当然ですが、上位のほうがおとくまんさいです。
ただ、悲観しなくてもいいのは、たとえ下位だとしてもGoogleのように絶対に読まれない、ということにはなりにくいということ。
なぜなら求人広告は仕事探しである以上、どんなに上位に掲載されていても細かい条件や定性面(情緒的、感覚的)で離脱されることがあるからです。
Googleの検索エンジンは「ユーザーにとって有益な情報ができるだけ大量に掲載されているサイト」を是として上位表示させます。求人サイトは「金子をたくさん払った会社」から順に上位表示させるので、そこにはユーザー、つまり求職者への目配せはありません。
それは逆をいえば上位以外にも「自分にあった会社」がある可能性を充分に孕んでいるということになります。
もしあなたの周囲の転職希望者の中に『検索結果はGoogleと一緒』論者の人がいたらやさしく諭してあげてください。
そうしてごくノーマルに検索して、検索結果をチェック。自分が担当した求人広告にたどりつくまで、どれだけトラップがあるか確認しましょう。
ここでいうトラップとは「採用上の競合」になりえそうな募集情報がどれだけあるか、ということです。今回の採用ターゲットにはなんとかトラップをかきわけて、自分がこしらえた求人広告までたどりついてほしい。
そんな健気が思いは、きっとモニターの向こうの求職者にも伝わるんじゃないか。そんなふうに思います。
掲載後にやること
掲載開始後、約1週間が勝負といわれる求人広告。最近は「もうすぐ掲載終了」フラグが立つことで掲載落ち間際にチラホラ応募が来ることもなくはないです。が、やはり初速の勢いが大事なことには変わりありません。
なので1週間は毎日管理画面のチェックをしましょう。なにかの都合(下位代理店あるいは媒体特性等)で制作管理画面が手元にない、という場合はクライアントから毎日データを転送してもらうようにします。
ここ、案件によってはかなりストレスのかかる工程です。
応募効果が華々しければいいのですが、芳しくないときはデータを見たくないのが人情。できれば忘れたいものです。
しかし、ここで逃げるということは職務放棄に近いと言えます。
私たちは求人広告のコピーライターです。求人広告のコピーライターは求人広告のコピーを書くことが仕事ではありません。もちろんそれも仕事のうちですが、あくまでプロセスに過ぎない。私たちの仕事の本質は、あくまでも企業の採用成功と求職者の転職成功(あるいは就職成功、アルバイト入店かもしれません)にあるのです。
と、いうことで己をですね、ひとつ奮い立たせてですね、まず一週間はデイリーで数字を追いかけましょう。そして追いながら対策を考えていく。応募効果が高ければ問題ありませんが、あまり数字が伸びないのであればその理由を考える。
そして改善提案をいまのうちから企画する。あるいはクライアントに早いタイミングで仮説を伝えて反応を見る。
これをやる求人広告制作者は、ぼくが知るかぎりゼロです。
だからいいんです。
ここを逃げずに毎日丁寧にフォローすれば、結果がたとえ上手くいかなかったとしてもクライアントは怒ったりはしないはず。あ、営業が期待値調整失敗していなければ、の話ですけど。
そして二回目、あるいは三回目で見事、予定通りの成果を上げることができれば、おそらくですがその企業はあなたのことを手放さなくなるでしょう。そうやって、会社の看板に頼ることなくクライアントからの信頼を獲得できれば、おそらく単なる求人広告のコピーライターにとどまらない領域での仕事を任せてもらえる日も近いはずです。
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