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薄楽詩集

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#花

【詩】ミモザの頃

【詩】ミモザの頃

 

 ミモザの頃

用心しなければならない 今日が
無事なのは 川面がひかりをはじき
鳥の声がきらめいているからなのだ 
朝からのこの道には ささやかな三月の平穏がながれ 
午後のいつもの公園につづいている そこには

昨夜の褥の春雷はなく ミモザの匂いの
記憶があの噴水にたちあがる

やわらかなはるのうれい

ああ 喪われている現在 恋は
剪り時がむずかしいのだ
#詩 #現代詩 #自由詩 #

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【詩】フラワーメッセージ

【詩】フラワーメッセージ

朝顔

昨日落とした
夢の中で落とした
あなたを落とした
たいせつなたいせつなあなただった
だから今朝のあなたはあなたではない
あなたはべつの私と出ていったのだ
部屋にはあなたのワイシャツが捨ててある
わたしはわらって
涙の露であらう
あなたのたいせつなものが
すっかりきれいになって
わたしの朝になる 

椿

貴方は私をゆっくりとおためしになったのね
いいですよ ぽつんと
あなたのおねむりになっ

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【詩】二十歳のアネモネに

【詩】二十歳のアネモネに

二十歳の君を画いた
どうしたらいいのか わからないままに 生きて 話した
二十歳の君の裸を画いた
二十歳の君は自由のコルセットをはずし 
ぼくの赤い十字軍となった
ただそれだけだ

二十歳の君を画いた
互いの言葉にアンダラインを引き 理解し合えないまま 話した
二十歳の君の無垢を画いた
二十歳の君は月と語る露となり
東雲の空に消えていった
ただそれだけだ

翻訳不可能な川の両岸に ぼくらは 立ち

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【詩】わすれな草より

【詩】わすれな草より

すこし消してみた なにを

すこし消えた なにが

あなたとあたし でした

嫉妬してみました だれに 

あなたをすきなあたしに

あたしは だれですか 

あなたのうしろにいるあたしです

すこし消してみた なにを 恋を そうしたら

すこし点きましたわ なにが あい が

そう なんでも すこしずつが いいわ

わかれるのも すきになるのも

おたがい こわれないように しましょう

しっと

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