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なぜあなたはナチになったのですか?680人のドイツ人に聞いたナチスに入党した理由【熱狂的ナチの生活記録】

ナチス党員数は最大で850万人、10人のうち1人が党員だったと言われます。ヒトラーの人気絶頂期は政権奪取後、また対フランスの勝利後であり、入党希望者が続出し、新規入党を制限する措置が執られるほどでした。

ヒトラーがドイツ人に支持された理由は上記のnoteで記しましたが、個人的まで深掘りした内容ではありませんでした。「なぜあなたはナチになったのですか?」1934年6月にヒトラー運動の支持者にアンケートを取ったアメリカの社会主義者のセオドア・アーベルの興味深い記録本『WHY HITLER CAME INTO POWER』を手に入れましたので、今回はそれを紹介していくことにします。

<参照・引用>
『WHY HITLER CAME INTO POWER』Theodore Abel(Harvard University Press)
『ヒトラー神話の誕生』J・P・スターン(社会思想社)

熱狂的ナチの生活記録はどのように集められたか?

アメリカの社会主義者セオドア・アーベルはヒトラーの国民社会主義運動に参加した人々の証言を集めた人物として知られています。1933年にヒトラーが首相に就任してドイツが熱狂に包まれる中、セオドア・アーベルはヒトラーを支持する多くの人々の動機が何であったかを知りたいと考えました。彼は1934年6月にドイツを訪れ、ヒトラー運動の支持者の記録を公募、このコンテストはコロンビア大学社会学部の指導のもとに開催され、コロンビア大学社会学部員が最終審査員を務めました。コンテストの目的は、国民社会主義の歴史に関する資料を収集し、事実に基づいた個人的な資料に基づいてアメリカ国民に情報を提供することです。(どうやらコンテストは、ナチ党員の誰一人としてインタビューに応じてもらえなかったため、偽のコンテストとして公募したとされる)コンテストの内容は以下でした。

賞金400マルク
ヒトラー運動信奉者の個人史最優秀賞
性別、年齢を問わず、1933年1月1日以前に国家社会主義党員であった者、あるいは同運動に共鳴していた者であれば、誰でもこのコンテストに参加することができる。特に、家庭生活、教育、経済状況、団体への参加、ヒトラー運動への参加、戦後の出来事や思想に関する重要な経験、考え、感情などに注意を払うこと。
賞は、最も詳細で信頼できる証言を提出した著者に授与される。文体、スペル、ドラマチックなストーリーの価値は考慮されない。完全さと率直さが唯一の基準であり、最も単純で劇的でないストーリーも十分に考慮される。

賞は以下のように授与される
最優秀賞 125マルク
準グランプリ 50マルク
三等賞 25マルク
5等 各20マルク
10等 各10マルク

締め切りは1934年9月で当時、賞金はドイツの平均月給の半分以上の価値があり、また、ナチスの宣伝大臣だったヨーゼフ・ゲッベルスがこのコンテストを公に支持したことからか、683点の原稿が寄せられました。予想外の結果でこれらのライフヒストリーに含まれる資料の豊富さと多様さはこの事業を十分に正当化するものでした。その後、セオドア・アーベルは、『WHY HITLER CAME INTO POWER』 を1938年に出版(1966年に復刻版)し、集まった原稿の多くが抜粋する形で、また6篇は省略せず全文で公開されました。

ライフヒストリーは誰が書いたのか?

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