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古本屋で見つけた『悪魔の辞典』私のお気に入りをまとめてみた

私は古本屋では、ヒトラーやナチス、ユダヤ人の他に、北欧神話や悪魔などのジャンルの本を探しています。とある古本屋を覗くと『悪魔の辞典』というなんとも興味深い本が目に入ってきました。パラパラ読んでいくと、まあ面白い。ということで、今回は古本屋で見つけた『悪魔の辞典』について気になった箇所をほんの一部紹介していくことにします。いつものナチスやヒトラーの記事ではないのですが、何かの気付きになるかもしれませんので、参考に読んでいただけると嬉しいです。

<参照・引用>
『悪魔の辞典』(角川文庫)著:A・ピアス、訳:奥田俊介、倉本護、猪狩博

『悪魔の辞典』とは?有名作家ピアスによる風刺本

『悪魔の辞典』とはアメリカ短編作家ピアスによる現代文明と人間性を鋭い風刺と痛烈な皮肉で描いた辞典形式の本です。1911年に『悪魔の辞典』というタイトルで出版され、その皮肉やブラックユーモアは人々の心を掴み、「アメリカ文学史上最も偉大な100作品の内の一つ」に選ばれ、今や辞書パロディの形式的な存在にもなっています。

生前ピアスは作家よりもむしろジャーナリストとして名を馳せており、彼は辛辣な風刺家として知られていました。ジャーナリストのピアスは不正のはこびる時代に生き、それを痛烈に批判したのです。彼は1861年南北戦争が勃発すると奴隷解放として純粋な情熱で北軍に志願し、2年後には中尉に昇進する有能な軍人でもありました。しかし現実には正義ではなく己の欲のために十万の兵士の命を犠牲にし、丘の上で酒を片手に見物する北軍司令官グランドら将軍の姿を見たとき、ピアスの情熱は冷めたのです。彼は死に向かって突進する愚かで無力な兵士たち、戦争の人間の本質を知り、悲観主義的人生観が芽生え、皮肉と冷笑が彼の心を占めることになりました。『悪魔の辞典』ではそういった彼の人生観が含まれているのが読んでいて分かるでしょう。

ちなみに、この辞典では大きく8つのテーマに分けられ、①政治②宗教③戦争④文学⑤女性⑥人間性⑦言語⑧その他となっています。それでは、私が気になった箇所を挙げていきます。

『悪魔の辞典』テーマ:政治

【偽善者】自分で重んじんでもいないいくつかの美徳を備えているようなことを言いながら、軽蔑するその当のものであると思われる利益を巧いこと手に入れる者。

【ぺてん師】社会的栄誉への野心に燃える競争相手。

【嘘つき】勝手気ままにうろつき回り、掠め取る職業に従事する法律家。

【大統領職】アメリカ政治の野外競技で球の役割をする油を塗った豚。

【大統領】国中のおびただしい数に及ぶ人間がそのうち誰一人として大統領に選びたいとは思っていないことが明白に知られている。

【陰謀】こちらが正しい事をしようと正面からりっぱな努力をするのを、敵方が失敗に終わらせようとして採用する方法。

『悪魔の辞典』テーマ:宗教

【信仰】比類のない物事について知りもしないのに語る者が言うことを、証拠もなしに信じること。

【無宗教】世界のもろもろの偉大な信仰の中でもっとも重要な信仰。

【黙示録】使徒ヨハネが自分の知っているすべてのことを隠して何も書いていない有名な書物。黙示なる行為は注釈家によって行われた。ところで彼らは何一つ知ってはいないのだ。

【祈る】取るに足らないことが明々白々なたった一人の嘆願者のために、宇宙の全法則を廃棄してくれるように頼む。

【哲学】どこからともなく出てきて、無へと通じている数多くの道から成り立っている一つの道。

『悪魔の辞典』テーマ:戦争

【歴史家】広範囲にむだ口をたたく輩。

【歴史】たいてい、悪党である支配者とか、たいてい馬鹿者である兵隊によって起こされる主として取るに足らぬ出来事に関する、たいていは嘘の記述のこと。

【平和】国際関係で、戦争と戦争との間のだましあいの期間。

『悪魔の辞典』テーマ:人間性

【奇行】とても安上がりな有名になる方法。そのために頓馬な輩がその無能さをひきたてるために、この方法を用いることしきりとか…

【殺人】一人の人間を他の人間が殺すこと。4種類の殺人、つまり凶悪な殺人、許していいい殺人、正当と認められる殺人、賞賛に値する殺人とがあるが、どの種の殺人であろうと殺される人間にとってはたいした違いはない。こうした分類は法律家には都合良いだろうが。

【無学な人】あなたがよく知っているある種の知識には暗いのに、あなたが何も知らないある他の種類の知識に明るい人間。

【愚かな言動】一種の天与の着想、つまりこの辞書の粗探しをするのが好きな批評家たちの頭を冒す聖なる火。

【楽天主義】醜いものも含めてもすべてが美しく見え、悪いものはなおのことだが、ものすべてが良く見え、そして間違っているもののすべてが正しく見えるという主義または信念。貧困に陥るといった不幸にすっかり慣れっこの者たちがもっとも頑なき抱き、うすら笑いにも似た笑顔できわめて巧みにごたくを並べる。盲信であるため、反証のあかりに近くなんていうことは不可能であり、また知力な錯乱であるため、とどのつまり馬鹿は死ななきゃ治らない。遺伝性ではあるが、幸いなことに伝染性ではない。

【楽天主義者】黒を白という主義の信奉者。

『悪魔の辞典』テーマ:その他

【富】天からの授かりもの「これこそ心から満足している私の最愛の息子」を意味する
-ジョン・ロックフェラー

【ジグザグに進む】白人の荷物を運んでいる黒人のように、左へ右へとよろけながら、危なっかしい足取りで前進する。

最後に

簡単でしたが、『悪魔の辞典』で私の気になった箇所を一部紹介しました。『悪魔の辞典』は読み手を選びますが、皮肉が好きな人は面白く読めると思います。気になった方はぜひ読んでみてくださいね。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

白狼(はくおう)ちとせ🐺

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