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戦略は変わらない、戦術は変わる

私が、社内をみる視点の一つに「変わっているか」ということがあります。箔一は伝統産業を手掛けています。伝統が「残された」ということは、時代に合わせて変化してきたことの結果ですから、この金沢箔を次の世代に受け継いでいこうと考えるならば、私たちもまた変わり続けなければならないのです。 

ただし、何を変えて、何を変えないかの見極めは大切です。

伝統には、変えてはいけない大切なものもあります。ものづくりへの真摯な姿勢、金沢箔の伝統的な製法などは変えてはいけません。また、箔一の理念でもある、技術を磨き続けることや、その価値を現在の人々の暮らしの中で表現するといった姿勢も、変わることはないでしょう。逆にそれを守っていれば、目標を実現する手段はいくらでも変えて良いと考えています。 

例えばですが、登山家が険しい山に登るとします。戦略目標は山頂への到達であり、これはいかなる場合も変わりません。しかしルートはどうでしょうか。道が切れていたり、崖があったり、急に天候が崩れたり。思いがけない困難が次々と襲ってきます。求められるのは、そうしたことに合わせて臨機応変に変化しながら、目標を見失わない力です。

私は、現場のリーダーたちが企業の戦略を理解しているかどうかは見ていますが、仕事の進め方については自由でよいと考えています。むしろ、こちらが指示をしなくても、やり方を常に変えていけるリーダーを高く評価します。山頂に行くのに、もし近道があるのなら、正規のルートじゃなくてもよいでしょう。目標を達成することが大切なのですから。

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