奈良・八起堂治療院

「身体を柔らかくする」をコンセプトにする奈良市の治療院。 専門は関節を柔らかくする「関…

奈良・八起堂治療院

「身体を柔らかくする」をコンセプトにする奈良市の治療院。 専門は関節を柔らかくする「関節リリース」と筋膜を動きやすくする「筋膜リリース」。 趣味は古武術(甲野善紀先生門下。もうすぐ入門から30年…)。 関節リリースや古武術に興味のある人、気軽に声をかけてください。

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  • 身体操作・古武術関連記事まとめ

    今までの自分の記事の中から、身体操作と古武術の記事をまとめました

  • 二宮翁夜話の素人解説

    二宮尊徳(金次郎)の、二宮翁夜話が面白かったので、自分の勉強も兼ねて抄訳と感想を載せています。

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伝わりづらいとは思いますが、足の歪み調整の面白さを説明してみます

八起堂では足関節治療を重視していて、バレエ関係者など、足の調整に来る方も多いです。 もちろん、足が身体の要所(足が歪むと全身が歪む)というのもあるのですが、足関節が面白くてハマっているうちに、施術が得意になったというのもあります。 足関節のどこが面白いのかというと。 ①構造が複雑とにかく、骨・関節の形が独特すぎます。 一番が足首の骨・距骨。 とくにかかとの骨・踵骨との間にある距踵関節(距骨下関節とも)です。足のアーチを動かすための面と、ねじれた動きを支える面の2つがあ

    • AIの学習と子供の学習 ~ 素人考え

      AIが「リンゴ」を判別できるようにするには、数万枚の画像を学習させる必要があるそうです。 ところが人間の子供は、ずっと少ない数を見るだけでリンゴを見分けられるようになってしまいます。 なぜ人間は少ないサンプルで見分けられるようになるのか、というのはまだ結論が出ていないそうです。 先日、you tubeチャンネル「コテンラジオ」の構造主義の話を聞いていて、ふと考えつきました。 ・言葉は境界線である コテンラジオのこの回は構造主義の話。 私が気になったのは、本論に入る前の

      • 広重の絵で見る、昔の荷運び

        前回、飛脚が背負っている棒付き箱の話を書きました。 荷物を運ぶという視点で浮世絵を見ると、いろいろ発見があります。 私は歌川広重の浮世絵が好きなので、そこからいくつか。 ・棒で運ぶ 見ていて多いのは、棒の両端に大きな箱をつけて、肩に乗せるスタイル。両掛挟箱というようです(飛脚が持っているのは片掛け挟箱)。 物を運ぶとき、荷物の重心が身体の中心に近いほど、楽に持てます。 最も中心に近いのは、頭上に載せる方法。インド・アフリカのドキュメンタリーで見ますね。日本では大原女が薪

        • 龍馬の「日本を今一度洗濯いたし申し候」の「洗濯」のイメージについて

          坂本龍馬の名言「日本を今一度洗濯いたし申し候」。 これまでは単に、汚れを落としてきれいにする、という意味で見てました。頭の中にあったのは、水から出てくる真っ白な日本のイメージ。 でも昔の洗濯から考えると、もっと強いイメージだったかもしれません。 ・揉む、踏む、叩く 江戸時代の洗濯は、灰を水につけて作った灰汁やムクロジの汁につけて、もみ洗する方法。場合によっては踏む。洗濯機がないですからね。 もっと荒っぽいと、臼に入れて搗いたみたい。 ただ、これは下着や肌着などを日常的

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        • 身体操作・古武術関連記事まとめ
          79本
        • 二宮翁夜話の素人解説
          15本

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          あなたはリュックサックを使うべきか? 歩き方で決まる向き・不向き

          リュックサックを使っている人、増えましたよね。ビジネス用のリュックなんてものもできて、楽になりました! といいたいのですが、私の場合、なぜかリュックで歩くと疲れます。 ・リュックが向く人、向かない人 つい先日、同じことをおっしゃるお客さんと会いました。お互いの歩き方を話すうちに、わかってきたこと。 リュックは、大股で歩く人には向きません。 理由。 大きな歩幅で歩く場合、骨盤を回して歩幅を広げます。 ところがリュックを背負って大股で歩くと、背中が回ったときに荷物もいっし

          あなたはリュックサックを使うべきか? 歩き方で決まる向き・不向き

          骨盤と内臓下垂について考える

          前回前々回と骨盤の開閉について書いてきましたが、この骨盤ポジション、内臓の健康にとっても重要ではないかと考えています。 ・内臓を受け止める骨盤 人間の骨盤は上に向かって開いた、ろうと状の形をしていますね。 この形、動物の中ではかなり珍しい。 ほとんどの動物にとっての骨盤は、背骨と足をつなぐだけの働きをする細い輪っかにすぎません。 人間の骨盤がこんな形をしているのは、二足歩行するからです。単なる輪っか型の骨盤では、内臓は下に向かって下がっていってしまいますから。 上向き

          骨盤と内臓下垂について考える

          骨盤を開閉する

          前回に引き続き骨盤の話。 骨盤は、3つの骨が集まってできていて、継ぎ目で動けるという話でした。 動かせる量は大きくありませんが、運動の自由度がちょっと上がります。 ・骨盤を開閉する 前回、骨盤が蝶のように羽ばたくと書きました。 足を止めたまま骨盤を開く場合、考えられる効果は2つあります。 1つは、足の外旋が大きくなること。 バレエなどで、足を外旋する人に有効です。 2つ目は、重心の位置の変化。 骨盤を開くと、脊椎の下端にある仙骨が前に押し出されます。閉じると後ろに引

          骨盤は、蝶のように羽ばたく

          足の動かし方を考えるときに、忘れてはならないのが骨盤です。 骨盤は、ねじったり開閉したりと、いろんな事ができる骨なのです。 ・骨盤は3つの骨でできている図のように、骨盤は中央の仙骨と、両側の寛骨の3つが集まってできています(このうち、寛骨は腸骨、恥骨、坐骨の3つがくっついて一つの骨になったもの)。 その継ぎ目は3つ。 まずは前方の一つ。下腹部の骨の出っ張り、恥骨結合です。 ここは軟骨でできていて、その弾力によってわずかに動きます。 そして後方に2つ、仙腸関節。 脊椎の下

          骨盤は、蝶のように羽ばたく

          身体を分割して動けば、出足が早くなる 

          武術でもスポーツでも、移動は大事な要素です。 最近、気がついたのは、 「全身同時に動かなくてもいいんじゃないか?」 ということ。 ・早く動く方法は2つある 人間が移動するには加速・減速が必要です。 物理で考えると 加速度 = 力 ÷ 質量 なので、急加速・急減速をしたいなら、方法は2つ。 力を大きくするか、質量を小さくするか、です。 一般的に使われるのは、力を大きくする方法。 筋力を上げたり、力を出しやすいポジションを使う(関節を曲げすぎない)、重力の助けを借りるなど

          身体を分割して動けば、出足が早くなる 

          犬の鼻が濡れているのは、匂いの追跡能力と関係があるのでは?

          どうでもいい話ですが、ちょっと思いついたので、書いてみました。 警察犬は、指示された匂いを追跡することができますね。 でも、匂いは空中を流れているのに、なぜ方向がわかるのでしょうか? ・匂いと風向きの合わせ技 昔、忍者は風向きを知るために自分の指を使ったそうです。 指を舐めてから空気にさらすと、風の当たる面が気化熱で冷えます。ヒヤッとする方向から風が吹いているのがわかるとのこと。 今日気がついたのですが、犬の鼻も同じだと思うんですよ。 いつも鼻が濡れているので、風が吹

          犬の鼻が濡れているのは、匂いの追跡能力と関係があるのでは?

          腕の中を「割る」練習

          甲野先生のところで習った技術に「身体を割る」というものがあります。 腕を一本の棒と考えていると、動きのバリエーションは限られてしまいますが、腕をいくつもの部分に分けて認識できると、できることが増えます。 今回は一番初歩の「前腕の分割」。 野菜を縦切りにするように、縦に四分割して認識できるようにします。 注 noteで、これとは別の「身体を割る」技術について書いている方がいらっしゃいます。たまたま言葉は同じですが、別の技術です。 ・前腕の分割①指を広げ、軽く固める 指を

          腕の中を「割る」練習

          足ぺらを乗り越えて、JFFC本戦に進出したkoji選手

          フリースタイルフットボールの話です。 少し前の話になりますが、足ぺらの治療で八起堂に来てくださっているkoji選手が、フリースタイルフットボールの全国大会、JFFCの予選でベスト32まで進み、本戦に出場されました。 本戦では勝てなかったとのことですが、足ぺらを患った選手がエアムーブを武器に本戦にまで進むこと自体が、稀有なことのようです。 今回は、koji選手の話。 ・「足ぺらになってから上手くなった」 koji選手のすごいところは、上の一言に尽きます。 足ぺらになっ

          足ぺらを乗り越えて、JFFC本戦に進出したkoji選手

          相手の力を抜いてしまう技の原理③ 筋肉の「センサーモード」

          甲野道場にいたときに使われていた用語の一つに「センサーモード」があります。 先生の技を受けたときに、力が入らなくなって、スッと崩されてしまいます。そんなときの説明に使われていました。 ・センサー・モードは感覚に集中する状態 家の階段や、駅の階段なら、駆け上がることができますね。 では廃屋の、見るからに腐りかけていて、ギシギシ音のする怪談を駆け上がれるでしょうか? 無理ですね。いつ落ちるかわからないところで、警戒心なく動くことはできないでしょう。 以前も書いたとおり、私達

          相手の力を抜いてしまう技の原理③ 筋肉の「センサーモード」

          進化論的な稽古の方法

          身体の動かし方を左右する内部感覚。できる人にとっては当然のことでも、できない人にとっては全くわからなかったりします。 長嶋茂雄氏の「バッといってガーンと打つ」みたいな話。 こればかりは、師匠から聞く教えもヒントにしかなりません。自分自身で再発見するしかないところです。 ・進化論的アプローチ 先日読んだ本「失敗の科学」(マシュー・サイド著 株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン)に、ぴったりくる話が載っていました。 1970年当時、総合メーカーのユニリーバは、粉末洗剤

          進化論的な稽古の方法

          「良い動作」を脳に保存するには ~上達論

          動きをパターン化すれば、高度な動きでも脳の負担を減らせる、というのが前回の話。 では、どう練習すれば高度な動きのパターンが作れるのか、が今回の話です。 大脳で繰り返した動きが小脳に保存されるので、理論的には良い動作を繰り返して小脳に保存すればいいことになりますね。 とはいえ、その「良い動作」が難しい。 ・最初は形から がむしゃらに数だけやっても、それまでと同じ動作の繰り返しなら上達には繋がりません。良い動作を取り入れるための方向づけが必要です。 初心者の場合は、まず形

          「良い動作」を脳に保存するには ~上達論

          アスリートの脳は、どうやって身体を動かすのか

          前回は、脳の負担を減らすと反応が良くなるという話でした。 一般に、精密で高度な動きは多くの情報を処理しなくてはならないので、脳の負担が大きく、反応速度は遅くなるはず。 しかし、一流のアスリートはそれを両立させます。 それを可能にするのは運動の省略化、セット化です。 ・繰り返しによる「セット化」 わかりやすいように、食事で使う箸を例にします。 たった2本の棒でいろんな操作ができる箸は、五指を複雑に使っているように見えますね。でも、分析すると同時に動いている部分が多いのです

          アスリートの脳は、どうやって身体を動かすのか