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アスリートの脳は、どうやって身体を動かすのか

前回は、脳の負担を減らすと反応が良くなるという話でした。
一般に、精密で高度な動きは多くの情報を処理しなくてはならないので、脳の負担が大きく、反応速度は遅くなるはず。

しかし、一流のアスリートはそれを両立させます。
それを可能にするのは運動の省略化、セット化です。

・繰り返しによる「セット化」

わかりやすいように、食事で使う箸を例にします。
たった2本の棒でいろんな操作ができる箸は、五指を複雑に使っているように見えますね。でも、分析すると同時に動いている部分が多いのです。

上の箸を使う人差し指と中指は、ほぼ同時に動いていますし、下の箸を支える親指、薬指に力がかかる方向もタイミングも、人差し指・中指に連動しています。
そこで、この指を動かす筋肉の操作をセットで覚えます。

力加減も、普段の食事では「強い・普通・弱い」くらいのパターンしか使っていませんから、それもセット化。

こうして使うパターンを取り出して「箸使い」というセットにしてしまえば、あとはそれを呼び出すだけで箸が動きます。脳は、細かいコントロールをするのではなく、必要なときに必要なパターンを引き出すだけなので、短時間で反応できるわけです。

アスリートの運動も同じで、まず最初は大脳によって繰り返される運動が、パターンとしてセットになり、小脳にしまい込まれます。あとは、小脳に入っている動きを取り出して、使うだけ。

・「慣れ」と「上達」を分けるのは何か?

では、練習量を増やせば誰でもトップアスリートのパフォーマンスが…ということにはなりません。やっぱり。
繰り返した動きが小脳にしまわれるのはみんな同じですが、どんな動きをしまい込むかで、差が出ます。

上手な人は、単なる「慣れ」を超えて、プレーに有利な合理的・効率的なものを身につけてゆきます。
「慣れ」と「上達」を分けるものは何か? どうしたら、もっと上達しやすくなるのか?

以下、次回。

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