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腕の中を「割る」練習

甲野先生のところで習った技術に「身体を割る」というものがあります。
腕を一本の棒と考えていると、動きのバリエーションは限られてしまいますが、腕をいくつもの部分に分けて認識できると、できることが増えます。

今回は一番初歩の「前腕の分割」。
野菜を縦切りにするように、縦に四分割して認識できるようにします。

 noteで、これとは別の「身体を割る」技術について書いている方がいらっしゃいます。たまたま言葉は同じですが、別の技術です。

・前腕の分割

①指を広げ、軽く固める

指を動かさないほうが腕の中を認識しやすいので、最初は指を固定します。
五指を開いた状態で力を入れて、指を固めます。曲げる筋肉と伸ばす筋肉の両方を緊張させる要領です。

②手首を動かす

指を動かさないまま、手首を「親指⇔小指」方向に動かす。
指に力が入っているので、筋肉に引っ張られて肘も動くはずです。

その時、前腕の感覚に集中していると、親指側・小指側それぞれの筋肉が、ズレて動いているように感じられます。イメージとしては、前腕が細長い平行四辺形で、対辺がズレながら動く感じ。
このズレが「割る」感覚です。

手首を曲げて指先を下に向けると、肘は上がってきます(赤矢印)
前腕の上面が指方向へ、下面が肘方向にズレる感覚が出ます。

指先を上に向けると、肘は下がってきます(青矢印)
腕の上面が肘方向、下面が指方向へズレる感じがあるでしょう。

③指に入れる力を減らしてゆく

指の力を少しずつ減らして動かしてゆきます。このとき、前腕の中の、ズレる感じを見失わないように。
割れる感覚を保つには、適度な緊張が必要です。動きのじゃまにならない程度に、しかしなるべく軽い緊張を使えるように練習します。

割れをぼんやりと感じるまでは、すぐです。
しかし割りの感覚がはっきりして、軽く動かせるようになるには、最低でも2週間から1か月くらいはかかると思います。

④手の甲側、手のひら側でも割ってゆく

前腕を縦割り4分割します。

・腕を割るとできること

まずは、動きのバリエーションが増える。
腕を割って認識できると「腕の中の一部で力を受けつつ、もう一方で動きを作る」などの使い方ができるようになります。

合気上げなどでは、相手の感覚を騙すにも使えます。

しかし最も大きな使い方は、身体の連動です。
たとえば肘を動かすとき、普通は上腕の筋肉を使って動かしますね。
ところが、上の図を見るとわかるように、手首と肘の動きが連動しています。肘を動かすのに、前腕の筋肉も使えるわけです。

動き出しを軽く、気配を出さないためには、いろいろな方法があると思います。身体を割ってゆく技法も、そうした方法の一つです。

八起堂治療院



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