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進化論的な稽古の方法

身体の動かし方を左右する内部感覚。できる人にとっては当然のことでも、できない人にとっては全くわからなかったりします。
長嶋茂雄氏の「バッといってガーンと打つ」みたいな話。

こればかりは、師匠から聞く教えもヒントにしかなりません。自分自身で再発見するしかないところです。

・進化論的アプローチ

先日読んだ本「失敗の科学」(マシュー・サイド著 株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン)に、ぴったりくる話が載っていました。

1970年当時、総合メーカーのユニリーバは、粉末洗剤を作るノズルの目詰まりに悩んでいました。そこで生物学者のチームに白羽の矢が立ちます。

生物学者は、ノズルの複製を10個作り、それぞれにほんの少しずつ違った加工を加えました。比較テストして、最も結果の良いノズルを残します。

結果の良かったノズルを10個コピー、それぞれに別の加工を付け加えてテスト。一番いいのを選んで10個コピーして加工…という過程を10回繰り返すと、目詰まりしにくい高性能のノズルが完成したとのこと。
ちなみに完成したノズルは、最初には想像もできなかった形をしていたそうです。

生物学者たちが使ったのは、進化論です。ランダムな変異を起こして実験を行い、優れたものを生き残らせて、また変異させる。

・実験的稽古の方法

先程のノズルと同じで、少しずつ動きを変えて実験しながら、完成度を高めてゆくのは、稽古でも有効です。

自分の動きを自分で感じ、違和感のある部分を修正。動いては修正。また動いては修正。それを繰り返しながら、少しずつ動きを洗練してゆきます。

稽古するうちに感覚が鍛えられ、感じ取れる情報量が増えます。すると動きの側でも修正できる事が増え、上達してゆきます。感覚が先で、動きはあと。

一つの正解にこだわりすぎると、袋小路に入ってしまうこともあるので、ありえないほど無茶な動きを入れてみて、感覚の変化を見るのも有効。幅広い動きのパターンは、すぐには役立たなくても、視界を広げてくれます。

一人で稽古をするときに、おすすめしたい方法です。

八起堂治療院ホームページ


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