【まずい】キャベツでピェンローを作る

ピェンロ―とは、中国の鍋料理で、豚、鳥、白菜を干ししいたけダシで煮込み、ごま油で風味づけしたものだ。調味は取り皿にとってから行うという特徴があり、しかもその味付けもかなりシンプルだ。基本的には塩のみ、好みで一味唐辛子を使う。塩だけいいのかという声が聞こえてきそうだが、塩だけでいい。むしろ、塩だけがいい。豚、鳥、白菜、シイタケの味が出た黄金色のスープは絶品で、そこらへんの市販の鍋の素などではとうてい敵いそうのない美味さだ。これに塩以外で味を足そうものなら、たちまち味が飽和し、まとまりのない仕上がりになってしまう。(味噌は例外的にかなりうまい だがやるなら〆とかにしたほうがより楽しめる)

これを作ろうとしたのだが、白菜は高騰していて、ただの白菜が4分の1で200円ちょっとした。一方ちょうどキャベツが盛んな季節で、良いキャベツが一個200円を切って売ってた。ピェンロ―で使い切らなくても汎用性高く便利と考え白菜を手放しキャベツを手に取った。これが失敗だった…


癖のない甘さ、繊維質のほどよさ=白菜があの鍋には圧倒的ベストマッチなのだ

豚バラ、鶏ももを買ってさっそく普段の白菜ピェンローと同じように煮込むのだが、最初の違和感。新鮮とはいえ白菜よりも圧倒的に青臭さが立つのだ。とはいえ、これはまだ煮込み開始からわずかで、失敗とするのは早計だ。この料理は白菜(今回はキャベツ)がトロトロになるまで煮込まないと美味くない。標準煮込み時間は大体40分~である。キャベツは白菜よりも硬いので時間をかけて1時間くらい煮込んだ。見た面は普段の白菜以上に柔らかそうだが、仕上がりはどうか。再度味見。なんとまだ硬い!いや硬いというか、葉の大部分はトロトロに柔らかいのだが、繊維が口に残る。キャベツ単体でなく豚、鳥と食べ合わせても、やはり繊維が残る。白菜なら真っ先に口内から消えるのというのに…そしてやはりまだ少し青臭い。スープにも青臭さが溶け込んでしまっている。これでは市販の鍋の素以下である。結果、この鍋の禁じ手である、鍋ごと味付けすることで美味しく食べられた。日本の田舎味噌をメインにピーシェン豆板醤でアクセントを出した。(私は青臭い食べ物は好まなくて、キュウリとブロッコリーが特にきらい)とはいえ、個人的なこの鍋の醍醐味は残りスープにビーフンをいれたスープ麺だと考えているので、それができない(できるけど本家とはちょっと違うでしょ)のは残念だった。いい勉強になった。その後、キャベツはお好み焼きとジャパニーズ回鍋肉で消化。とてもいいキャベツだった。(悪いのはキャベツの質ではなくキャベツそのものであったことを再度伝える)

今回の料理からはいろいろと学んだ。料理前に食材について今一度よく想像力を働かせることが大切であると。例えばロールキャベツはキャベツの強い繊維質のおかげで肉が包まれて成り立つ料理であるから、煮込んでも繊維質がある程度残る、という具合に使用予定の食材の特性について今一度考え、思い当たらなかったら既存の料理から考えるということ。このような貪欲な姿勢が料理の仕上がりをより良くするのだと。料理は5感で楽しむものであり、作る前にそれらを計算したうえで調理しないといけないと。とはいえ、私の場合は結局食べるのは自分だけなのだから、あんまり神経質になるものそれはそれで問題だ。どこで折り合いをつけるべきか、難しいところである。結局のところ、過程や仕上がりがどうであり料理と食事を楽しめればいいのだ。

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