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死語の世界

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2022年3月の記事一覧

【死語の世界】第六話  「末は博士か大臣か」

【死語の世界】第六話  「末は博士か大臣か」

その昔、といっても私が子供の時分のことだ。親戚のおじさんや近所のじいさんは、できのいい子をつかまえては「末は博士か大臣かっていうからな、しっかりやれぃ」といったものだった。
これはおべっか(これも死語だ)としては使わない。成績のいい子にしかいわない。さらに、これは経験の範囲だが、勉強ばっかりする、それしか取り柄のない青白いガリ勉にいうことはなかったようにおもう。頭がよくてかつ活動的な子、ひとことで

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【死語の世界】第二十四話 『お気取り』

【死語の世界】第二十四話 『お気取り』

幼少のころ私はよく『お気取り』だと言われた。幼稚園にあがる前からはっきりと自我らしきものがあったのだから仕方ない。さらにその自我は『お気取り』と言われることをとても嫌っていた。どうしたら自然体になれるのか、そんなことを考えるからさらに気取ったことになり、ある種のディレンマに陥っていたわけだ。が、さすがにそれには気づくはずもない。

自分が浸かった産湯のキラキラを覚えていると言い張る三島由紀夫にはか

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【死語の世界】第十九話 『わんぱく』

【死語の世界】第十九話 『わんぱく』

1970年代に一世風靡した丸大ハムのコマーシャル「わんぱくでもいい、たくましく育ってほしい」が懐かしい。
漢字は『腕白』と書くが当て字らしく、意味としては、子供、特に男の子が言うことをきかず、暴れまわったり、いたずらをしたりすることをいう。語源は諸説あり、「関白」の音変化ではないかというのが有力らしい。なんちゃら白(ハク)の白は「はっきりとしている様」の用法だろうから、つまり『腕白』とは「はっきり

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