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ギラつく個性の荒波でも尚

ここで、本当にやっていけるのだろうか。
不安しかないんだけど。だけど。

ついに、専門学校の入学式。

想定の遥か上を駆け巡るギラつく個性の大渋滞に
もう目が回ってしまう。
隣のお母さんの唖然とした表情、一生忘れない。

全身ショッキングピンクのセットアップ、
何色と言って良いのか分からないカラフルな髪、
地元にいたら「牛」って呼ばれそうな鼻ピ君。

これから服飾を学ぶとは言え、ここまでだとは。

それに比べて私は。
何度目か分からない最後の入学式は、年相応に、
大人っぽく決めようと思って、全身黒。
細やかなメリケンサックと、刺繍のバッグが、
異常に頼りなく見えてしまう。

こんなん、ほぼ裸じゃないか。押されてるぞ。

けれど、ふと懐かしくも思ってしまう。
4年前の私も相当ギラついてたなって。

洋服や髪色なんかの手軽な武器を両手いっぱいに
持って、必死にパレードしていたっけ。

制服や校則の抑圧から、やっと解放されたから。
自由に、誰よりも個性を表現したいのよね。
分かる。分かるよ。

いつからだろう。武器を捨てたのは。

そうだ。やっぱり君達との4年間だった。

とんでもなく個性的な君達が認めてくれたから。
すっぴんの私も素敵だと受け入れてくれたから。
脳みそが、センスが好きだと褒めてくれたから。

丸裸の私の全てを抱きしめてくれたその日から、
私は重たい武装をやめたんだった。

ギラつく個性の荒波でも、私は丸裸で生きよう。
ほんの少しだけのお洒落で、軽快に羽ばたこう。

本当の個性って勝手に滲み出ていくものだから。
取り繕った武装なんて、もうしないよ。

次は、私が包み込む番。なのかもね。

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