ニーイントゥーアウト・剪断力による膝の傷害と種目の選定
今回の記事は「ニーイントゥーアウト/せん断力による膝の傷害」について話していこうと思います。
ニーイントゥーアウトと膝の傷害
ニーイントゥーアウト(knee-in toe-out)とは?
解剖学的に
・膝関節外反
・下腿外旋の肢位
を指します。
真ん中の写真ように「膝が内側に、つま先が外側に向いている(両膝がぶつかり、内側のくるぶしが付かない状態)」がニーイントゥーアウトです。
そして、このニーイントゥーアウト状態での負荷発生は「膝を怪我しやすい」との報告があります。
スクワット中に「膝が内側に入らないように」と指示を出すのは、膝への負担を減らし、傷害のリスクを下げるためです。
せん断力(剪断力)と膝の傷害
せん断力とは「物体にずれを起こす力」を指します。
・パンチで紙に穴を開ける
・ハサミで紙を切る
・手で紙を破く
などが、せん断力の代表的な例です。
少し話は変わりますが、太もも前にある大腿四頭筋を鍛える人気な種目にレッグエクステンションがあります。
膝関節を屈伸(屈曲・伸展)させる「単関節エクササイズ」です。
そして、膝関節の伸展時に負荷がかかります。
レッグエクステンションを推奨しない理由
その中で、"一般的なダイエットや健康的な運動目的を対象"とした場合、私はこのエクササイズを推奨することはありません。
先述した通り、レッグエクステンションは膝関節を屈伸させる単関節エクササイズです。膝関節の伸展には大腿四頭筋が働くのですが「膝関節のみを動かす」がゆえ、大腿四頭筋しか働きません。
【パーソナル指導において推奨しない理由】
があげられるためです。
レッグエクステンションを推奨する理由
逆に推奨する場合もあります。
それは”ボディメイクが目的”となるパターンです
【パーソナル指導においてレッグエクステンションを推奨する理由】
最大のメリットとしては、アイソレーション種目はコンパウンド種目よりも回数を多く行うことで筋肥大させていくため、その分トレーニングの成熟度は高くなりやすいことです。
反復回数が多くなることで、神経伝達がより洗練され「ここを動かしたい!」の体現性が向上すると考えています。
一方、レッグエクステンションとは異なり、スクワットはジャンル問わず推奨しています。
スクワットを推奨する理由
【パーソナル指導においてスクワットを推奨する理由】
があげられます。
スクワットは膝関節だけでなく、股関節も屈伸させ「多関節エクササイズ」です。そして、股関節の伸展時に負荷がかかります。
股関節の伸展には、太もも後ろにあるハムストリングスが働くのですが、このハムストリングスは股関節の伸展のほか、膝関節の屈曲作用も有しています。
レッグエクステンションでは大腿四頭筋しか働かないため、頚骨が前方へと移動するせん断力が強く働きましたが、スクワットでは大腿四頭筋だけでなくハムストリングスも働くため、剪断力は小さくなります。
下のイラストをご覧いただきたいのですが、ハムストリングスが脛骨を後方に引くため、脛骨の前方へのずれが抑制される = 膝への負担が小さくなるという仕組みです(赤矢印)
スクワット中に「お尻を後ろに突き出すように(股関節を大きく使うように)」と指示を出すのは、ハムストリングスをより働かせ→せん断力を小さくし→膝への負担を減らし→傷害のリスクを下げるためです。
まとめ
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