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ガーデナーが小川未明の「野ばら」の姿を想像してみました

こんにちは。ガーデンプランナーのhacoです。最近小川未明さんの野ばらという作品の朗読を聴く機会がありました。

そして、夕暮れにお散歩をしているときに、いよいよ咲き始めた「野ばら」を見つけました。そうそう、これがあのお話に出てくる「野ばら」だと思って見ていたのですが、ふと疑問に思うことが出てきたのです。

今日はそんなお話です。

児童文学作家ー小川未明

小川未明
「日本のアンデルセン」「日本児童文学の父」と呼ばれ、浜田広介坪田譲治と並んで「児童文学界の三種の神器」と評された
Wikipedia

小川未明さんの作品は、子供たちにぜひ触れて欲しいな。と思う物語が多く、また大人になった私たちでも、大切なことを思い返すように読んでも良いかな。と思います。

私のお気に入りの作品のご紹介もしたいのですが、それはまた改めて(←長くなりそうだから。)今日は「野ばら」という作品のお話をしましょう。

野ばらー青空文庫

野ばらという作品には、隣り合った大きな国と小さな国が出てきます。
それぞれの国境を守っているのは、大きな国の兵士は老人。小さな国の兵士は青年です。その二人の交流のお話です。

その国境に植わっていたのが「一株の野ばら」です。

小川未明の野ばらは、青空文庫でWEBでも文字で読むことができます。

野ばらの姿を思い浮かべましたか?

皆さんは、この野ばらの色や姿をどのように思い浮かべましたか?

野ばらの色は、物語の中で「白」と出てきます。また「良い香り」がするとも書かれています。
さてさて、では小川未明の作品に出てくる「野ばら」が本来はどんな姿なのか探して見ましょう。

日本の原種の野ばらなのかしら・・・

私が「野ばら」と聞いて思い浮かべたのはこのバラです。お散歩途中にも良く見かけます。  
日本の野山で見かける一重の房咲きの小花。素朴で可愛いでしょ。

しかし、ふと思ったのです。「国境の間に咲く?」と。日本には国境はないので、もしかしたら違う国の「野ばら」のことなのかな?と。

そうだとすれば、私が思い描いていた「野ばら」と姿が違うのではないかと。

バラの先祖を辿ってみると

植物の世界で「野ばら」というと「原種のバラ」を指します。

そして、世界中に現在ある様々な品種(4万種以上あると言われています。)のバラの祖先を辿っていくと、北半球に自生する7、8種の野バラにたどり着きます。そう、たったの7.8種が現在の4万種の土台になっていったのです。

原種のバラそれぞれの特徴

そのバラの祖先である7.8種のバラにはそれぞれ違った特徴があります。

例えば、中近東・西アジアの原種バラ、ロサ・フェティダ(Rosa foetida)は、黄色のバラの祖先です。

中国の原種バラ、ロサ・キネンシス(コウシンバラ)(Rosa chinensis)は、四季咲き性のバラの祖先で、綺麗な赤紫系のピンクです。

西アジア、北アフリカの原種のバラ、ロサ・モスカータ(Rosa moschata)は、ムスク香の香りの強いばらの祖先です。色はピンク。

そして、「房咲きつる性(ランブラー系)」という特徴を持った世界で出回っているバラは、日本の原種のバラ「テリハノイバラ」が祖先とされています。
テリハノイバラは、写真で先に紹介した野バラの姿とよく似ています。

日本の野バラが、世界史のバラのルーツにあるだなんて、なんだか意外!って思われる方もいらっしゃるかな。

原種で白い香りの良いバラ

では、国境のある地域に咲く白く香りの良い原種のバラというと、どんなバラがあるのでしょうか。

ロサ・ギガンティア(Rosa gigantea)は、大輪の剣咲のバラの祖先でありティ(紅茶)香のバラの祖先です。ヒマラヤ山脈の山の麓や、ミャンマー北部に自生していたバラです。

私が、当初思い描いていたバラとは、花のサイズも姿もずいぶん違います。

さて、皆さんが思い描いていたバラは、大ぶりのバラかしら。それとも小ぶりのサイズのバラだったかしら。

日本人である小川未明が、頭の中に描いたのはもしかしたら私が写真で紹介した小花の野ばらかもしれませんし、もしかしたら、他の自生する名もなきバラだったのかもしれません。

まとめー野ばらに思う

様々な物語の中には、とても詳細な植物の様子が描かれていたりします。実際に植物の名前がたくさん出てくる物語もありますね。

私は普段から植物に触れているので、物語に出てくる植物の様子が頭の中にパーッと思い浮かぶのですが、【植物はさっぱりわからないのよ。】という方にとっては、その名前からなんとなくの様子を想像される場合もあるんじゃないかな。と思うのです。

同じ物語を聞いて、人それぞれ想像した風景が違うのだとしたら、その人の脳裏に浮かんだ風景を、私もみて見たいです。

以前朗読を聞いて、たくさんの植物が出てくる物語の世界をお見せしたくて、スケッチをしたことがありましたので、ご興味ある方はそちらの記事も読んでみてください。


さて、この小川未明さんの『野ばら』と言う作品は、平和な日常に訪れた戦争によって一変してしまう、その様子が書かれています。
近いうちに息子と一緒に読んでみようと思っているお話です。

どうぞ、現在、戦争によって平和な日常を奪われた方達に、もう一度そして早く平穏な日々が訪れますように。

そう願って今日は終わりにしたいと思います。
今日も最後まで読んでくださりありがとうございました。





童話や物語に出てくる花を、皆さんはどんなふうにあたまに描いているのかなと、想像して一人でたのしんでおります。

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