はちお

三軒茶屋に住む人です。三軒茶屋の住人たちを書いています。

はちお

三軒茶屋に住む人です。三軒茶屋の住人たちを書いています。

マガジン

  • 三軒茶屋の愉快な住人たち

    三軒茶屋の路地にある小さなカフェ「TOMOSHIBI」。オープン2年目になるが、目立たない場所にあるここには悩みを持った人が訪れる。昼はドリンクとおやつ、夜はお酒が飲めるBAR。三軒茶屋に住んで5年、天真爛漫な27歳女性がTOMOSHIBIに頻繁に訪れていて…。主人公を中心に三軒茶屋で繰り広げられるお話です。 主人公:小野寺遙(おのはる)、平日はPR会社に務めるOL、好きなものは三軒茶屋にある駒湯のお風呂に浸かった後のコーヒー牛乳。

最近の記事

第9話

40歳くらいだと思われるその男性は、このTOMOSHIBIに年に3回くらいしか来なくて、2時間かけて埼玉から来ているそうだ。 元々は野口さんのお母さんがお店をしていたのだが、昨年亡くなられて、野口さんが一人ほそぼそと経営しているのだ。 野口ママが経営していたころは、近所のお年寄りや主婦の方がメインできていたりしていた。 朝の時間帯はいまでもご近所のおじいさんおばあさんがきていた。ママのおしゃべりな感じや、ままの「アホかっ」のツッコミが毎回面白いのだ。 このお店をしった理由

    • 第8話

      「カッコいいなと思った人がいるんです」 それはこの間健康診断を受けていてそこで出会った先生といいますか…。 ちょっとぶつかってしまって、診察見てくれたのがその先生で!たぶん歳は30歳くらいかなぁって感じで。もう会うことはないと思うんですけどね。でもなんか春っぽくないですか! 「連絡先を聞かなかったの」と野口さん。 「聞けるわけない!! はぁ、恋したいなぁ」とつぶやく私。 今日も灯はいつもの常連メンバーで賑わっている…といっても、今日来ているのは婚活中のせっきーさんと私

      • 第7話☁︎TOMOSHOBIの夜

        月曜日から金曜日と私は一生懸命働いた。 特に大した事がなく平和に終わった。平和に終わったというのは残業が今週はなかったという意味だ。 金曜の夜20時くらいにTOMOSHIBIにふらっと訪れるのがすきだ。 夜は22時くらいまでひっそりとお店をオープンさせている。(平日の夜はあまり人が入らない。) 「こんばんは〜」 野口さんとカフェの常連が座っていた。 「ビールで!」 「あら、おのはるちゃん、お久しぶりじゃん、元気してた?」 「みずもさん! 私は元気ですよ!」 みずもさんはT

        • 第六話☁︎「はじめまして、隣人の…」

          一人の女性が立っていた。扉を開くとジャージ姿ですっぴんで黒髪が胸辺りまで伸びていて、目がくりっとしていて、第一印象は「めっちゃかわいい」。 「あのお菓子とメッセージありがとうございます。401号室の小西あやめです」 おおー、今風な女性。 「あ、直接挨拶できなくてごめんなさい、小野寺春香です。3日前に引っ越してきたばかりで。」 「そうなんですね、どこから引っ越してきたんですか?」 「実は前もこの付近に住んでて、徒歩3分くらいのところなんですけど」 「ここらへんすみや

        マガジン

        • 三軒茶屋の愉快な住人たち
          3本

        記事

          第5話☀︎「健康診断ー診察室にて」

          診察の番が回ってきた。「小野寺さ〜ん」と名前を呼ばれて診察室に入った。 入室して椅子に座る。診察してくれるお医者さんは前の人のカルテを記入していた。あれ……と気づくことが一つ。そのお医者さんはさっき私がトイレに行く際にぶつかった人、先生だ! さっきは髪を下ろしていたけど今はオールバックになっていて、目元は一重で、うっすらと焼けた肌。先生が私の方を向く。 「あっ。」先生も気づいたようだ。 「先ほどはすみません。大丈夫でしたか?」 「あ、はい……。」 聴診器検査で聴診器

          第5話☀︎「健康診断ー診察室にて」

          第4話☀︎健康診断

          春のポカポカした感じがとても心地よい。 春だ春。恋。手をつないで笑いあっている学生カップルを見ていると心が浄化される。可愛いなぁ。私も学生の頃はあんな感じだったのかなぁ。脳内BGはYUIの「CHE.R.RY」。今日は会社の健康診断なので、バスに乗って駒沢公園付近にある病院へ向かうのです。 ー病院 初めて駒澤公園にある病院にきた。さすが総合病院。とても大きい。 白衣を着たお医者さん、看護師さん、ワタワタしていて忙しそう。名前を呼ばれる前にお手洗いを済ませておきたいと思い

          第4話☀︎健康診断

          第三話☁︎「ピンポン」

          マンションに着いた。お隣のマンションを見ると電気がついていなかったから、まだ帰って何だろうと思った。明るい時に挨拶した方が、安心するかなと思って明日出勤前の時間帯に渡しにいくことにした。 月曜の朝、 8時35分に家をでて、お隣さんの玄関前に行く。あ〜やっぱりこのご時世挨拶なんてするべきなのか、ここまできたら一言だけいえばいいだけじゃん。金髪のギャルのお姉さんが出てきたどうしよう。人差し指でインターホンを鳴らした。 「ピンポーン」 さぁ、出てこい。心の準備はできている。ど

          第三話☁︎「ピンポン」

          第二話☀︎「TOMOSHIBI」野口さん!

          「いらっしゃい」と店主の野口さん。こじんまりしていて、お客さんはそこまで入らないからひとりで経営している。 「お久しぶりです! いつぶりにきたかな。」と話しかける私。 「今年に入ってから来てないよ。1年ぶりになるんじゃない」 「え!? そんな月日が流れたんですか?? 」 出されたメニューを見ると新ドリンクが追加されていた。「炭酸レモネード」これにした。 「そう、私、引っ越しをしたんです!」 「どこ引っ越したの?」 「世田谷ですよ!三茶です。前住んでたところから徒

          第二話☀︎「TOMOSHIBI」野口さん!

          第一話☀︎「引越ししました」

          春の日差しが気持ちいい日曜午後の三軒茶屋。 あ、どうも初めまして、今年で29歳になります、アラサーのおのはること小野寺遙です。先日約4年住んだアパートを去り、新しいマンションに引っ越しをした。前住んだ場所から徒歩3分の場所になる。エリアは三軒茶屋。 「え、引っ越しした意味あんの?」って会社の人にツッコまれたのですが、契約更新日が近づいていて、なんとなく部屋を変えたいのそれだけ。要するに気分転換的な? 三軒茶屋エリアが便利すぎて、一度住み慣れてしまったら、ここから出られないの

          第一話☀︎「引越ししました」