第9話

40歳くらいだと思われるその男性は、このTOMOSHIBIに年に3回くらいしか来なくて、2時間かけて埼玉から来ているそうだ。

元々は野口さんのお母さんがお店をしていたのだが、昨年亡くなられて、野口さんが一人ほそぼそと経営しているのだ。
野口ママが経営していたころは、近所のお年寄りや主婦の方がメインできていたりしていた。
朝の時間帯はいまでもご近所のおじいさんおばあさんがきていた。ママのおしゃべりな感じや、ままの「アホかっ」のツッコミが毎回面白いのだ。

このお店をしった理由は、私が社会人3年目になって仕事でムシャクシャになり、朝まで仕事してアドレナリンが溢れてで、眠れず、朝の三茶をふらふらしていた時に、お店を見つけた。
一人珈琲を飲んでいて、私の表情が暗かったのか、ままが話しかけてくれたのだ。
じいちゃんばあちゃんのたわいない会話に癒されて、励まされて、ここに集まる人が好きだ。三元茶屋が好きだ。

野口さんになってから、ままの魂を引き継いでいるか…というと謎だが(アホかのツッコミは聞けない)
野口さんの人柄から、ママのおもかげはある。

続く。