第5話☀︎「健康診断ー診察室にて」
診察の番が回ってきた。「小野寺さ〜ん」と名前を呼ばれて診察室に入った。
入室して椅子に座る。診察してくれるお医者さんは前の人のカルテを記入していた。あれ……と気づくことが一つ。そのお医者さんはさっき私がトイレに行く際にぶつかった人、先生だ! さっきは髪を下ろしていたけど今はオールバックになっていて、目元は一重で、うっすらと焼けた肌。先生が私の方を向く。
「あっ。」先生も気づいたようだ。
「先ほどはすみません。大丈夫でしたか?」
「あ、はい……。」
聴診器検査で聴診器が私の胸に当たる。少し恥ずかしい。その時に先生の胸元の名札を見る。「伊能」と書かれている。伊能先生か。
「特に問題はないですね。診察は以上となります。」
看護師さんに帰りの受付を案内されて私は診察室を後にした。
伊能先生か……。風邪を引いたり体調を崩したらまたこの病院にこよう。
健康診断後はオフィスに戻り、社内打ち合わせとメール対応などをしていて21時過ぎに家に戻ってきた。大したことはしていないんだけど、どっと疲れた。
お風呂のお湯を入れながら、メイクを落としている時に、インターホンが鳴った。
慌ててメイクを洗い流し、顔を拭いて玄関へ向かう。
こんな時間に誰だろうか。大家さん? 扉のドアスコープをみると、一人の女性が立っていた。
続く。