第二話☀︎「TOMOSHIBI」野口さん!

「いらっしゃい」と店主の野口さん。こじんまりしていて、お客さんはそこまで入らないからひとりで経営している。

「お久しぶりです! いつぶりにきたかな。」と話しかける私。

「今年に入ってから来てないよ。1年ぶりになるんじゃない」

「え!? そんな月日が流れたんですか?? 」

出されたメニューを見ると新ドリンクが追加されていた。「炭酸レモネード」これにした。

「そう、私、引っ越しをしたんです!」

「どこ引っ越したの?」

「世田谷ですよ!三茶です。前住んでたところから徒歩3分間ないのところに引っ越しました!」

と伝えたら、「引っ越した意味」の話になったので、軽く説明をしておいた。

「引っ越しはよしとして、野口さん、プライベートはどうなんですか? もう春ですよ春! こいしちゃったんだたぶん、気付いてないでしょ〜♪の季節ですよ!」

搾りたてのレモンが入ったレモネードを出して「そうだねえ、アプリで出会った女性がいて、デートは重ねてるよ。」

「なんと! どんな女性ですか!」

「歳はおのはるくらいかな、今年28?とか」

「歳の差! 13歳も離れているのですね」

レモネードの炭酸が喉を潤す。シュワーッッッツ。この炭酸のように弾ける恋がしたいものだ。アラサーだけど。

2時間くらいお昼のTOMOSHIBIに居座った。ポールオースター 「ガラスの街」を読んだり、Twitter見てたりして、夕方にはお店を出た。

キャロットタワーに入り、it’s demoによって桜のクッキーを買った。タワーから出て空を見ると筋雲ができていた。とても気持ちが良い。この空と気温と空気が、大学の入学当初の記憶を蘇らせる。

ここで一句。

「春の風 

    私の頬を

      なでていく」

と心の中で呟いた。

夕方からのんべえたちがたまろっている山岳地帯を通って、今日はまっすぐ家に向かった。

続く。