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サンライズのきっぷを確保せよ![2022.4-5 サンライズGR②]


JR全線のきっぷは、基本的には1か月前の午前10時から一斉に発売される。毎日運行している列車の座席や、乗車券を求める際には、この時間になった途端に買う必要は全くない。しかし、今回のような場合は違う。血眼になってきっぷを確保しにいかねばならないのだ。

数十年前までは、10時前になると、各駅のみどりの窓口やJTBを始めとする旅行会社では、俗にいう”10時打ち”をしに来ている人々の列が見られていた。現在においても、その勢いには陰りを見せつつあるけれども、まだ健在といえる。ちなみに、”10時打ち”の語源についてだが、「10時になるのを見計らって、係員が端末のボタンを押す(=打つ)」からその言葉が生まれたのではないかと私は考えているが、いかがだろうか。

さて、今回乗車しようとしている「サンライズ出雲91号」は、わずか数秒で満席になってしまうような”プレミアムチケット”までとはいかないものの、それに近い存在だと見ている。サンライズ号には、大まかに分けてA寝台・B寝台・ノビノビ座席があり、寝台を狙う場合は”10時打ち”をする必要が出てくるだろう。一方、ノビノビ座席はいわゆる雑魚寝タイプの指定席であるが、そこは比較的売り切れるまでの時間が長くなる特徴がある。ケチな性分の身としては当然そこを狙っているから、今回は便利なインターネットで挑戦する計画だ。

サンライズ号のきっぷをインターネットで求める方法はただひとつで、JR西日本が提供する「e5489」を使う。ただひとつと言ったが、JR東日本の「えきねっと」等でもノビノビ座席に限っては購入できる。ただし、座席の選択ができない点に注意が必要だ。つまり、「e5489」は選択ができるわけだが、操作に慣れていないと大変な事態になりうるから、事前に研鑽を積むことをお勧めする。そのような便利な「e5489」にも欠点はあり、寝台の種類(シングルデラックス、ソロ等々)はもちろん選べるのだが、部屋を指定するのは不可能だ。指定したいであれば、みどりの窓口へ出向くしか術はない。
便利さという観点からまとめると、「みどりの窓口>e5489>えきねっと」となるだろう。


そして、その日がとうとうやって来た。ちょうど休日だったから、9時に起床して臨戦態勢に入る。パソコンやWi-Fiの調子を確かめつつ、「e5489」の身体で覚えきった予約手順を最後に確認する。9時58分になったら、時報をつけて、その時が来るのをじっと待つ。ここから10時になるまでが一番緊張する瞬間だ。少しでもリラックスしておかないと、緊張で手が震えてしまい、良いパフォーマンスが発揮できない。以前、そのせいできっぷが取れなかったという事例を発生させてしまったから、十分に気をつけねばならない。そのような余計なことを考えていると、より緊張してしまう。まさに心理戦である。

あっという間に10時を迎えて、手際よく作業を進める。無事きっぷを確保できたが、さすがにもう売り切れただろうと思い、もう一度作業をおこなう。もちろん、寝台は満席(満室)になっていた。しかし、ノビノビ座席は半分ほど空席である。緊張から解放されたのか、呆気にとられたのか分からないが、脱力感が急に襲ってきた。本気になる必要なんてなかったのだ。
その後、特急やくも号の指定席券もしっかりと確保し、翌日のサンライズ瀬戸のノビノビ座席も押さえられた。

これでようやく出かけられることが確定した。サンライズで行って、サンライズですぐさま帰るという弾丸旅行になってしまうが、それはそれで非常に楽しい思い出になるだろうと心を躍らせつつ、1か月後のその日になるまで過ごしていたのだった。


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