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子どもは遊びながら仮説検証する

子どもたちが遊ぶのを観察していると、日々いろんな新しいことを試して実験していることに気づかされます。

未知のものに対して、それが何なのか。できるかできないか。美味しいか美味しくないか。などを知っていき、できないものはできるように何度もチャレンジしています。

やっていることはすべて日常の些細なことではありますが、そのサイクルやチャレンジ精神は、まさに起業家そのものだと感じさせます。

その源泉となっているのが、目の前の物事に対する圧倒的な好奇心です。

道端に生えている雑草、野花、せっせと働いている蟻。宙をヒラヒラ舞っている蝶。スーパーに売っている野菜や果物。目に映り込むすべてのものに興味関心を寄せ、手に触れてみたい。確かめてみたいという欲求を前面に出しています。

その姿を見ていると、人が本来持ち合わせている知的好奇心が、すべての行動の原点だと気づかされます。

社会との繋がりを感じられることが大切

自分が子どもの頃を思い出してみると、たしかに自分も日々泣いたり笑ったりしながら、色んなことにチャレンジしていました。目の前のことに夢中になっていたのかもしれません。

自分の学生時代を振り返ってみると、正直勉強はあまり楽しくありませんでした。定期的に行われるテストのための勉強は、やらなければいけないので仕方なくやっていましたが、ワクワクはしていませんでした。

今思うと、勉強も仮説検証の繰り返しであり、将来のためにとても大事なことを学んでいたと感じるのですが、その当時はそこまで想像することは出来ていませんでした。

一方、今行っている事業創造は違います。日々の仮説検証は、とてもワクワクする行為です。

その違いは何かというと、世の中に対して仮説検証できている実感です。社会に対して実験をして、世の中の仕組みが変化したり、それにより喜んでくれる人がいることです。

今やっていることと、世の中の仕組みとの繋がりを実感できると、人はワクワクするのかもしれません。世の中に何かしらの影響を与えられる、仕組みの一助を担えることにより行動が生まれます。その世界を実現しようという意欲が湧きます。

経営者であっても、その役割は仕組みを担う一つのパーツに過ぎません。会社のどんな職務であろうと、すべての人は目的のための役割を担っています。それぞれが、自分が担っている役割や成すべきこと、社会に与える影響や変化させる仕組みを理解/実感できることが大切です。

だからもし子どもの頃に、今やっている勉強と社会との繋がりを知ることができたら。学校の勉強が、将来の何に繋がるのかをイメージできたら、きっと日々の勉強をもっと楽しく取り組めたと思います。

一方、ここで一番問題なのが、自分が子どもの頃を考えても、そもそも世の中の仕組みを知りませんでした。社会と学校でやっていることを繋げるというより、社会そのものへの理解が足りていなかったと感じます。

もちろん学校では「社会」という教科があり、世の中のことを学ぶ機会はありましたが、それだけでは全然足りませんでした。世の中にある仕事のことや、どのように会社や組織が回っているのか。どのように色んな仕事が成立していて、それぞれの職業が具体的にどのようなものなのか。

知ったのは社会に出てからです。

これは多くの人がそうだと思います。学校でやっていることが、どのように社会と繋がっているかをイメージするためには、前提として社会への理解が必要だけれども、社会のことを知るのは大人になってから。というのが実情です。

学校だけではそのイメージを持つことが難しいかもしれませんが、日常の何かをきっかけにそのイメージを持つことができたら、未来に対してワクワクすることができます。目の前の学習を楽しむことが可能だと感じます。

将来のイメージが湧くと行動が生まれる

例えば、九州の小学生で初めて気象予報士に合格した島田有吾さんの場合。幼少期に服装が自由な幼稚園に通っていたことから、毎日天気を確認してから、どんな服装にするかを選んでいました。

ある日、天気予報とは違う天気になると予想したところ、その予想が当たったことが嬉しくなり、そこからさらに天気にのめり込んでいったそうです。

そこからずっと天気予報が好きだった有吾さんは、小学2年生のある日、いつも観ている天気予報の収録現場に見学に行く機会がありました。そこで、毎日観ていた憧れの天気予報士から、

そんなに天気が好きなら天気予報士になったら

と言われて将来のイメージが湧き、そこから天気予報士になるべく勉強を始めました。

そして小学6年生のとき、気象予報士の試験に合格しました。この間、親御さんは勉強を強制したことは一度もないそうです。唯一あるとすれば、幼少期に毎日一緒に空を眺めながら「明日はどんな天気だろうね〜」という会話をしたことかもしれません。それ以外は、すべて有吾さんが自発的に行動された結果です。

1. 最初は日常の些細なことがきっかけで対象に興味関心を持つ。
2. そこからその好奇心を育んでいく。
3. その対象と社会との繋がりをイメージする。
4. 将来のビジョンに対してイメージが湧く。

この4つの工程を通ると、人はそれに向かって行動しようという意欲が湧きます。

有吾さん以外にも、日常の些細なことがきっかけで世の中の仕組みや物事に興味を持ち、上記工程により行動が生まれた事象はたくさん聞きます。
これは子どもだけではなく、大人も同じです。

但し大人の場合は、順番が入れ替わることがあります。もちろん1からの方もいますが、3,4が先に起こり、そこから興味関心が湧きハマっていくパターンです。

企業の場合、経営者がビジョンを共有することにより、今やっている役割がどのように社会貢献されているのか、世の中の仕組みにどのような変化が起こるのかをイメージすることできます。逆にそれを怠ると、上記のようなことが起こらなくなるので、組織の行動力は落ちてしまいます。

実際、ビジョンを語ることを怠った結果、組織崩壊をしてしまった事例をたくさん耳にします。

私自身も、日々のタスクに埋もれることなく、長期的な視点をメンバーに伝える時間を大切にしていければと感じています。

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