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大きなミニ四駆を仕事にしてみた

こんにちは、ドイツレースチームでエンジニアとして働く山下です。
僕は高校生時代に F1 にハマり、大学卒業後にモータースポーツ業界に飛び込みました。僕の学生時代と比べて、最近は「好きなことを仕事に!」という潮流があるように思います。このような問いには答えはありません。長期的な視点で見れば、また意見も変わるかもしれません。とりあえず、現時点のサンプルとして、自分を考察してみようと思います。

(1) 好きを仕事にした理由

大学生1年生の秋に「将来どんな仕事が一番楽しいかなー?」とずっと考えていました。1日8時間以上働くなら遊びみたいな仕事が理想だと思っていました。子供の頃に楽しかったことを考えると、ミニ四駆 (自動車のプラモデル) が思い浮かびました。僕はよくミニ四駆のレース大会にも出場していました。僕はひらめきました。

「F1 エンジニアの仕事は大きなミニ四駆で遊んでいるのと同じだ!」

これが、レース業界に飛び込んだ理由です。
紆余曲折あり、現在はドイツレースチームで働いています。

(2) Honda F1を目指して変わった景色

別記事で書いたので詳細は割愛しますが、当時大学生だった僕は、本当に全力で Honda F1 を目指しました。目指す中で、周りの景色も変わって見えましたし、自分自身も大きく変わったと思います。

例えば、
・ F1 エンジニアに会いに行く、レースチームを訪問するなど、目標が定まり行動的になりました
・大学の研究、英語の勉強など、苦労もありましたが継続的に取り組み、成果を出すことが出来ました (研究:国際学会、査読雑誌掲載/ TOEIC: 300点以上up)
・想像以上の人が応援してくれて素直に嬉しかった、友達が増えた (家族、友人、 教授、大学OB、レースチーム、英会学校の先生 etc.)

Honda F1を目指していた時期は、僕にとってはプラスの影響しかなかったと思います。そのため、もし夢や目標を見つけたのであれば、本気で目指してみるのは良いことだと思います。

(3) 好きを仕事にするメリット

レース業界に飛び込んで良かったと思う事は沢山あります。ここでは、3つだけ挙げます。

① 趣味以上の深いレベルで、その業界に携わる事が出来る
開発に深く関わった車両の初レース、完走時にドライバーから「ありがとう」と言ってもらい、握手してもらった経験は忘れられません。また、10年、20年戦士のエンジニア、メカニックさんから色んな話を聞くことが出来るのは業界人の特権です。

② 周りのメンバーと話が合う
学生時代は自分の周りにレース好きは殆ど居ませんでした。しかし、現在の周囲メンバーは90%以上の人がレース好きです。ニッチな業界ほど、この傾向が強いと思います。過去に働いた自動車メーカーは大企業のため、自動車に興味がない人も多くいました。

③ 2つ目、3つ目の趣味に時間を割くことが出来る
学生時代は勉強が本分で、捻出した空き時間に、モータースポーツを趣味として観戦していました。現在は、モータースポーツが仕事になりました。空き時間は、他の趣味である囲碁、読書に当てることが出来ています。

(4) 好きを仕事にするデメリット

デメリットもあります。

① 働き過ぎる
好きが故にこだわりも強くなり、働き過ぎる傾向があります。僕のレースチームは年俸制で残業の概念がありません。それでも、深夜まで働くことも多いです。働き方改革もなんのその・・・苦笑

② 現場は趣味のイメージとは異なる
レースが好きで業界に飛び込みました。メディアを通してのイメージは、もう少し華やかなイメージでした。しかし、実際はかなり地味で大変な仕事が多いです。そのギャップに幻滅をして、離職してしまう人も多いです。

③ 生活が不安定になる可能性 (ニッチな業界、職業の場合)
僕は日系自動車メーカーでも働いた経験があります。やはり現職と比べると給与、手当て、福利厚生など安定しています。ドイツ企業は原則、退職金などもありません。。。泣

(5) 好きを仕事にするとどうなるか?

僕はレース業界を目指し、仕事にして正解だと思っています。

大変な事も多いです。しかし、少なくともレース業界を選んだことを後悔したことは一度もありません。ずっと目指し努力してきた業界にいると、自分の100%以上のアウトプットが出せると感じます。

僕は自動車メーカーの量産部門で働いた事もあります。技術的には興味深かったです。しかし、レース業界で働いている時に比べて、仕事に対するモチベーションの差を感じました。

これも脱サラしてドイツレースチームに飛び込んだ理由の一つです。
みんなに「すごいね!」って言われます。
僕も自分にここまで度胸があるとは思っていませんでした 笑
まあ、「こんな人生も悪くないかな」と思っています。


読んで頂いてありがとうございました。スキやフォローしてして頂ければうれしいです。

おわり


追記:僕がHonda F1を本気で目指した約10年間の記事がこちらです。当時は、自分自身が変わっていく事も分かりました(複数記事を加筆、修正して一つの記事に編集しました)。



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