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空間コンピューティングがもたらすメディアの変化

この記事は、「MESON Apple Vision Proアドベントカレンダー #2」7日目の記事です。前日の記事はこちら

また下記より「MESON Apple Vision Proアドベントカレンダー #1」の記事一覧を見ることができますので、ご興味ある方はぜひご覧ください。


本日は空間コンピューティングがもたらすメディアの変化仮説をご紹介します。



メディアは技術の進歩に合わせて変化する


メディアは技術の進歩に伴い変化します。
時代とともに新しい技術が登場し、それに応じてメディアの形態も進化・変容しながら、生活者に新たな選択肢をもたらしました。

文字、印刷、写真、映画、ビデオ、そしてVRなど

しかし新たなメディアが登場した際、その価値や可能性が明確になっているとは限りません。時には開発に携わった当事者達でさえ、その真の価値に気づいていないケースもありえます。そのため、新しい技術によるメディアが登場した際には、その特徴や価値を引き出すためのコンテンツが必要となります。


メディアは透明なもの


「メディア = 媒体」というものは本来それ自体が意識されることはあまりありません。メディアは何かを伝達する際の「乗り物」であり、通常は「透明なもの」としてスルーされます。

メディアは「窓」のようなものであり、
通常私たちはその向こうにある景色に注意を向けます


また私たちは普段メディアそれ自体を白紙のようなものとして捉えていて、その上に自らの意思で自由に表現をしているかのように錯覚しがちです。

例えばCDというメディアが主流だった時代には、概ね70分くらいの「アルバム」という概念があり、作品のサイズとそこからもたらされる体験の内容を事前にある程度予測することができました。
それは現在のストリーミング主体の視聴方法とは全く異なる体験であったように思います。


ここで重要なのは、メディアの固有性が我々の知覚そのものに作用し、体験としての質自体すらも変容させてしまう、という点です。



「映像」を例にとると、視聴時に画面内の時間が一様に進行し、前後のシーンが時系列の因果関係を持つという暗黙の前提があります。しかし、「編集」というメディア技術の進化により、映像は単なる時系列的な記録の枠を超え、私たちに新しい体験をもたらしました。

クリストファー・ノーランによる Tenet


一方で、新たなメディアや技術が必ずしも価値を生み出すとは限りません。例えば「MD」に代表されるような、一時メーカーがこぞって注力したメディアであっても、「ならではの表現」を獲得・更新できなければ存続自体が危ぶまれることもありえます。



絵画というメディアは近代になり、印象派やキュビズムなど「現実(リアル)の再現」とは異なる価値を確立しました。絵画が現在に至るまで存続し続けたのは、「メディアならではの表現」を更新し続けてきたためです。そしてこのような変化は、当時台頭していた新しい技術やメディアである、印刷や写真の出現とも密接な関係性を持っていました。

もし仮に絵画というメディアが「リアルを再現する」ということ以外の価値を見出せなかったとしたら、おそらくずっと以前に消滅していたことでしょう。

それまでとは違う価値が見出された時、人は透明なものとしてのメディアに目を留め、改めてその価値に気付きます。


空間コンピューティングがもたらすであろう変化


現在はスマートフォンの台頭により、写真や映像を撮影するという行為は、過去のそれとは全く異なる意味を持つようになりました。私たちはすでに、カメラでメモを取るかのように写真を活用しています。
またARに代表されるような技術においても、私たちは現実にあるものを直接見ることなく、デバイス上で認識できるものに「存在」を実感する能力を身につけつつあるようにも思えます。



昨年発表されたJFK Mementoは、リマスターされたアーカイブ映像や写真を使用し、史実を仮想再現することで鑑賞者に強い臨場感をもたらしています。これにより、場所の固有性を浮き彫りにし、既存のメディアが伝える史実からこぼれ落ちる記憶を掬い上げることで、これまでとは異なる示唆をもたらす可能性を秘めています。


仮想上に登場する彼らは過去の人たちであり、場所的にも実際に「そこ」には存在していません。
それでも、私たちはデバイス越しに「そこにいる」と言葉にし、それを実感しようとする能力を獲得しつつあります。それは私たちの知覚自体が更新されていることを指し示しているように感じます。


最後に


Apple Vision Proに代表される空間コンピューティングは、これまで以上に鑑賞者に対して極めて高い没入感と存在感を提供する点が特徴です。この技術は単なる目新しさ以上に、既存のメディアや私たちの知覚そのものに大きな影響を及ぼす可能性を示唆しています。従来の枠組みを超え、時間や空間をまたぐことが可能な空間コンピューティングメディアの登場は、今後ますます注目されることでしょう。


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