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保育士ママがこうもりの絵本を作る話

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#日記

保育士ママがこうもりの絵本を作る話(1)

保育士ママがこうもりの絵本を作る話(1)

はじまり
昨年2021年11月25日の夕方。私は神奈川県立プラザ近くの喫茶店にいた。

つい先ほど保育士の資格取得のために、1ヶ月間断続的に行われる実技講習会の最終日を終えたところだ。

コーヒーを2つ持って座った丸テーブルの向かいには、
講習会のグループワークで一緒になった同世代のKが座っていた。

「最後に提出したレポート、無事に通るといいですよね!」と私が言うと、
「本当に。自分の心に素直に

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保育士ママがこうもりの絵本を作る話(3)

保育士ママがこうもりの絵本を作る話(3)

前回のお話

物語のテーマと進め方
絵本作りは、お互いの仕事や生活に支障をきたさないよう、
月に一回、zoom会議を中心に進める事にした。

これからKが物語を描き、私はそこに並走して必要な作業を担っていく。

前出の設定案を出した後「あぁ、本当にはじまった…」という余韻の中、私は資料集めに勤しんでいた。

こうもりの生態から絵本の作り方まで、近所の図書館とインターネット検索で、比較的容易に知るこ

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保育士ママがこうもりの絵本を作る話(4)

保育士ママがこうもりの絵本を作る話(4)

前回のお話

3月
月イチでの打ち合わせは、毎回2時間程度対話をする事で進んでいた。

たくさんのアイデアをまとめる為、絵本に込めるメッセージをどれにするか絞っていくことにした。

その頃、厚労省が児童養護施設で暮らす子どもや若者について、原則18歳までとしている自立支援の年齢制限を撤廃する方針を決めたというニュースが注目されていた。

私たちの対話でも、施設にいる間の子供たちの心理的安全性につい

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 保育士ママがこうもりの絵本を作る話(5)

保育士ママがこうもりの絵本を作る話(5)

前回のお話

4月登場人物は大人の代弁者か

Kから最初に届いたイラスト付きの下書きは、子育て中の母親目線でみると、とても庇護欲を掻き立てられる内容だった。

私は小さな主人公に感情移入して少し泣けた。

物語を要約すると、

ひとりぼっちのコウモリの子が日常に溢れる数々の家族愛を目にして、言葉にならない寂しさを募らせていく。

ある時、そんな寂しい気持ちを堪えきれずに思わず叫ぶと、そこに救世主の

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保育士ママがこうもりの絵本を作る話(6)

保育士ママがこうもりの絵本を作る話(6)

前回のお話

7月リサーチの方法(1回目)

さっそく出来上がった物語を、第三者に見てもらう。
幸い身内に児童福祉関係者がいたので、zoomでレビューをお願いした。

自分でもできるだけ客観視したかったので、Kの下書きイラストに自分の声を吹き込んだ読み聞かせ風のムービーを準備しておいた。

A: 30代女性(母子保護施設勤務経験) / B: 60代女性(養護教諭・定年退職)

この2人に、あらすじ

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保育士ママがこうもりの絵本を作る話(7)

保育士ママがこうもりの絵本を作る話(7)

前回のお話

8月1回目のフィードバックからの改善方針は大きく2つ。
・3人称視点の説明文から1人称視点に変える。
・冒険的な要素を増やす

3人称視点から、1人称視点へ

この説明的な文章では、状況は理解できるが、読んでいても感情が動かない。

一部を主観的な説明セリフに変えてみる。

ピッピの性格が、激しいものから、無気力なものに変わってしまった。

一旦そのまま筆を進めて、冒険的な要素を増や

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保育士ママがこうもりの絵本を作る話(8/終)

保育士ママがこうもりの絵本を作る話(8/終)

前回のお話

9月イラスト制作

文章は出来上がったので、絵に着手する。
3月時点での下書きは、色鉛筆だった。

今回、最終的な製本を「中綴じ冊子」という形式にする。
簡単なカタログや文集に向いている。A4サイズなのにお得。
校正者のM氏がオススメしてくれた、初心者にちょうどいい。

ただ色鉛筆で描いてしまうと、どうしても下書き感が残ってしまうため、
今回は絵の具で仕上げてもらうようにお願いした。

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