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会社の成長を支えるナンバー2の育て方 vol.82 貞観政要から学ぶ社長に必要な心がけ

■貞観政要から学ぶ社長に必要な心がけ

社長には絶対的な権限がありますが、その権限の使い方次第で、組織は発展もすれば減退していく場合があります。その差を分けるものはなんでしょうか。

ヒントのひとつとして、中国古典の「貞観政要」をご紹介したいと思います。

「貞観政要」とは、唐の2代皇帝太宗(たいそう)の言行録で、帝王学の教科書として古来から高く評価されてきた書物です。太宗は、自らの政治を常に諫言や批判にさらし、臣下の意見を尊重し、自己改善に努めた英明な君主と言われています。

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■社長は空っぽになる
まず、社長は自分の器を空にすることが大切です。貞観政要では、「何もしないのが理想のリーダーだ」と記されています。これは、自分のプライドや見栄、欲望などで自分の器をいっぱいにするのではなく、それらを上手に捨てて器を空にすることで、部下の諫言に耳を傾け、新しい価値観を吸収し、自らを律することができるという意味です。

その上で、適材適所さえ心がけていきさえすれば、人も世も自然にそのリーダーに従うようになるというのです。社長は、自分が全てを知っていると思わず、部下からも謙虚に学ぶ姿勢を持つ必要があります。

■信頼、そして権限移譲
次に、社長は部下を信頼し、任せることが大切です。貞観政要では、「チームの力を最大限に引き出すために何よりも大切なのは、「部下に任せて待つこと」、そして「信用すること」と記されています。

これは、全てを自分で抱えこまず、部下を信頼して任せること。また、任せた以上は途中で口を挟まず見守ること。そのときはじめて、部下やチームは最大限の力を発揮するという意味です。社長は、部下の能力や意欲を見極めて適切な役割や責任を与えることが必要です。

■会社で起きること全てを掌握し、コントロールしたい気持ちを捨てる
自分で会社経営をしていて、自分の与り知らないところで勝手なことをされても困る。自分の会社ですから経営者として当たり前の気持ちだと思います。

ただ、規模にもよりますが従業員が増えれば増えるだけ目が届かなくなるのが現実ですし、全てを掌握することは物理的に不可能ですし、管理監督している時間もないでしょう。

仮に全てを掌握できたとしても、「自分の考えや流儀と違うことばかりしてけしからん」ときっと不機嫌になると思います。そして、その気持ちはストレスとなります。

ストレスを感じ続けていると、それが表情や態度に表れ、近寄りがたい空気感を出し、従業員がいつもビクビクしながら仕事をするようになるか、会社で起きることに無関心となります。本当は団結力のある会社にしたいのに、いつまでも悪循環から抜け出せなくなるのです。

自分の会社なのだから全てを掌握するのは当たり前かもしれませんが、会社は従業員のためにも存在するものです。

知っていても知らない顔をする、知らないことがあっても気に病まない。従業員から意見が上がってきたらひとまず真摯に耳を傾ける。任せるべきことは任せ切る。もし自分の知らないところでエラーがあっても経営者としてその責任を粛々と取る。従業員がついていきたいと思うトップの姿のひとつとして貞観政要の太宗は良いロールモデルになると思います。

■先ず一人目の諫言役をあえて置く
耳障りのよくない諫言を聞くのは正直気持ちのよいことではありません。自分を直接的に批判する場合もあるでしょうから尚更です。けれども、その言葉の中に自分では気づけない真実があり、改めるべき点を見つけることができたら、誤った判断をして会社がおかしな方向に行くよりも大きな価値があると言えます。

そして、批判をしているのに威厳を損なわない態度を目の当たりにしたら諫言を申し出た従業員が「この人は器が大きい」とかえってひれ伏し、信頼するものです。

悪い情報ほど早く上がってくる方が経営者として本当は有難いことです。そのためにはやはり空っぽになることが大事だと思います。くれぐれも耳障りの良いことしか言わないイエスマンで固めて裸の王様にならないことがとりわけ大事です。

参考になりましたら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。

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