自ら燃える 稲盛和夫さんの言葉
自分のマネジメント観を決定的にしたと言ってもよい稲盛和夫さんの言葉をシェアしたいなと思います。
組織運営でよく言われる2:6:2の法則(どのような組織・集団も、人材の構成比率は、優秀な働きを見せる人が2割、普通の働きをする人が6割、貢献度の低い人が2割となるという理論)と似ている言葉ですが、稲盛さんの言葉によって理解が深まった記憶があります。
会社員時代、経営幹部を長らく務めた私としては、会社側が社員の成長を促す施策を何も行わなければ、0.5:8.5:1というのが実感です。
不燃性の人というのはやはりどこにでもいて、常に冷ややかな評論家タイプであったり、わがままな振舞いで周囲の士気を下げるような人です。
最も多い可燃性の人はきっかけがなかったり、自信がなかったりというのが大半かもしれませんが、頑張ってもどうせ報われないからとどこか冷めた部分も持ち合わせている人という印象があります。
自燃性の人は本当に少ないです。ただ、それは本人だけの問題ではなくて、環境がそれを許してくれない場合も多いからだと思います。
目に見えない硬直化した社風や理解のない社長などの元では自燃性の人はなかなか現れませんし、このタイプの人は結局は起業するのかなとも思います。
そして自分はどのタイプに属するかというと手前味噌ですが自燃性だと自負しています。
ただ、この言葉に出会うまでの自分の考え方というのは、全ての人は必ず成長できるし、それを欲している「はず」というような考え方だったと思います。
けれども自分の力量不足や人徳のなさもあってか、思うようにはならないことの連続で一喜一憂ばかりしていました。
自分の思うようにさせたいという「無意識な傲慢さ」があることに全く気がつかなかったのでしょう。
稲盛さんの言葉に出会ってから、心が少し軽くなったのもありますし、本人が望まないあるべき論を押し付けることは一切やめようと思いました。
何を選ぶかは本人次第ですし、他人が強要することではないと割り切れるようになりました。
不燃性の人にはその人が得意なことで成果を出してもらえばいいですし、可燃性の人には対しては機会を提供したり、自信を持たせることなどを地道に実行していました。
そして成果を出しても報われないことがないように制度の変更や仕組みの設計をし、社長に進言するなどで環境を整えることに注力することが多かったです。
一方で、わがままで周囲の士気を下げるような人間には退場願うことは徹底するようにしました。
人事労務の仕事も長らく携わっていて、私なりの人事の仕事観は、採用、教育、排除という三本柱です。
あまりはっきり言う人は少ないのでしょうけれど、どう話しても改善の見込みがなく、他人に迷惑をかけることを止めない人は最終的には辞めてもらわないといけないのが現実だと思います。
下手すると労働裁判にもなってしまうので、大変な気苦労が伴いますが、問題のある人物は辞めてもらうことにしていました。
私自身は仕事で人は磨かれるという思いが人一倍強かったのですが、誰もがそう思う訳ではないし、たまたま機会に恵まれずに燻っている人も多く、可能な限りそういう人を引き上げることを稲盛さんの言葉から学びました。
自分自身は独立起業しても、相変わらず自燃性でありたいとは考えていますが、稲盛さんの言葉に触れて以来、性格はずいぶん丸くなったなと思いますし、良い意味でのゆるさも身につけられたような気がします。
最後までお読みいただきありがとうございます。