【小説・腹黒い11人の女】(22)「腹黒い11人の女」
どうしようもなく情に流されやすい店長は、退店すると言った私をさんざん引き止めた。
「ちえりちゃんがいなくなったら困るよ」
私は、肩をすくめてこう答えた。
「またまた。この成績じゃむしろいなくなった方がいいでしょ」
「そんな事ないよ、ちえりちゃん指名取ってる方だよ」
店長は慌てた様子でそう言ってくる。私はその発言に噴き出した。
「私が指名取ってるってその発言は無茶でしょ。成績、下から数えたら一瞬だし」
「でも、ちえりちゃんはウェイトレスも出来るし、いてくれないと困るよ