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「ランチボックス」「お届け物です」・・・ショートホラー。ブラフさんが、「#怪談 選」に選んでくれました。 ありがとうございます。


以前にも選んでいただいて、本当にありがたいと思っています。

短いので、こちらでも再録します。
ついでに、新しく続編も掲載します。

あっという間に読める超ショート怪談。でも、よ~くその向こうに隠れているものを想像すると・・・
・・・・・・・・・・


『お届け物です』… 


「ご自宅から、お忘れ物のお届けだそうです」

半年前死んだ妻の来社を、今日も受付の女が内線で取り次いでくる。

この会社には、内線も受付も無いのに。


                   おわり(つづく)


「ランチボックス」… 

今日、出社したら、机の上に弁当箱が置いてあった。妻が生前、俺に持たせてくれた藤色のランチボックスに似ている。

俺はあり得ないことだと否定し、必死に恐怖を抑え込みながら、皆に声をかけた。

「誰だ? 俺のデスクに忘れ物をしていった奴は・・・」


俺の声は誰もいないフロアにこだました。
煤だらけの天井と壁の間で、焼け焦げた椅子が、
吹き抜ける風にキーキーと音を立てて揺れているのを見て俺は思い出した。

一月前、妻の死をどうしても受け入れられなかった俺が、
出勤前のオフィスでガソリンをかぶって、火をつけたことを。


                   おわり

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