役者のキレとリアルが生み出す、奇妙な清涼感のある笑い! 劇団東京ミルクホール 「ヌルヌル民族の祭典」
役者のキレとリアルが生み出す、奇妙な清涼感のある笑い!
劇団東京ミルクホール 「ヌルヌル民族の祭典」
タイトル通り、ぬるいコント演劇かと思っていたら、大間違いである。
全体としては中二型学園SFパロディで、ありきたりのスラップスティックコメディや学園コントの様相を呈しているが、
役者陣一人一人のキレの良さと、節々に織り込まれるシニカルなセリフによって徐々に心がこの世界に持っていかれてしまった。
笑いを生み出すのは、役者の切れ味にかかっている、と改めて思った。しかし演出はそこに胡坐をかかない。芝居が綺麗に収まりすぎないように、リアルな緊張感、役者が体験する真実を見せるために、ヌルヌルとした仕掛けが仕込まれている。
これを、リーフェンシュタールのプロパガンダ映画に引っかけたタイトルも含めて、昨今の主張のない映画業界に対する反骨精神の現れである、とするのは、考えすぎかもしれない。
しかし、地方切り捨て、全体主義、選民思想、世襲政治。
そんな堅苦しい言葉を笑いの中に見つけると、「自分の置かれた世界を見直してみろよ」という問いがいつの間にか心の中に刷り込まれていることに気付く。
これでもかと盛り込まれたくすぐりの山。(ネタ元が昭和3~40年代生まれにはドンピシャであるが、若い人にはどうかな、と心配になるほど、細かいネタが仕込まれている。)やヒーローショー級の開演前アナウンス、星空のように床に広がる多すぎる蓄光バミリの数、コロナ対策を兼ねた扇風機群なども、演出の仕掛けなのではいかと思えるほど、はまってしまうのである。
それは、終演後のお見送りにも表れている。
どんなふうにお見送りをするかは是非実際に体験してみてほしい。
10月4日日曜日まで 下北沢小劇場B1にて。
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