「帰宅」・・・怪談。少子化を感じさせない街で思い出した話。
昨日、少し離れた商業地域を歩いた。
若い街である。
子連れも多い。
この街は、住環境の整備や、保育所の充実などの施策が功を奏して、
流入人口が増え続けている。
知っている限りでは、それほど派手な事をしている訳ではない。
しかし、この町を歩くと、少子化問題などどこ吹く風である。
のんびりと、子供連れの母親を見ていたら、こんな話を思い出した。
ほんとうに短い、あっという間に終わる怪談。
『帰宅』
夕食の支度をしていると、リビングから3歳になる娘の声が聞こえた?
「パパ~。おかえりなさ~い」
もう帰って来たのかな、玄関ドアが開く音には気が付かなかったけど、
と思いながら、ステンレスの流し越しにリビングの方を見た。
娘は、手を振っているが、その方向がおかしい。
「あれ?」
玄関ではなく、窓を見ながら、娘はニコニコと笑っている。
「ほら~。パパ、今日はこっちから帰ってきたよ」
娘は、私に言った。
四十六階の開かない窓を指さしながら。
おわり
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