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「店員の対応は」・・・超ショート怪談。コンビニで複雑な事を聞くと対応できない人がいる。そんなときは・・・。


最近のコンビニは、外国人の店員が多い。
皆、基本的な日本語は出来るが、ちょっと複雑な事、例えば、品切れの商品が次にいつ入るか、というようなことを聞くと「ちょっと店長がいないと分からないです」等と言われて、解決しないことも少なくない。

先日も宅配便のサイズについて聞こうとしたら、
その外国人の店員は、俺の顔を見たまま動かなくなった。

「どうしたんだよ」

前日の疲れもあって、俺はちょっと強めの言葉を発してしまった。
その途端、店員は、よく聞き取れない外国の言葉を言って
俺に怒り出した。
いや正確には何を言っているのかも分からなかったのだが、
その語気と睨みつけてくる目つきで、怒っている事だけは分かった。

さすがに俺も、『これは店長のいる時にもう一度来ないと話にならない』
と思い、数日後の夜、再びそのコンビニを訪れた。
夜はバイトが集まらないので、店長がいる事が多いのだ。

案の定、店長らしき中年の日本人がレジのお札を勘定している。

おれはクレーマーに思われないように、静かに話し始めた。

「すみません。この間、ここで宅配便について尋ねたら、物凄い勢いで
追い返されちゃったんですけど」

店長は、条件反射的に

「申し訳ありません」

と言って顔を上げた。だが・・・

「うわ~! 出てけ出てけ~!」

店長はあの外国人の店員と同じように、大きな声で悲鳴を上げ、
レジの下に置いてあった防犯用の警棒を取り出して振り回し、
俺を追い出しにかかった。

「な、何なんだよ。このコンビニは! 俺が何かしたのかよ?」

仕方なく俺は、出口の方に向かった。

今は夜。昼間と違って、外より店内の方が明るい。
中の風景がガラスの自動ドアに映っている。

背後でまだ怖い顔をして店長が怒っている。
その目線は俺のやや上を見つめている。

俺は、ガラスの自動ドアに映った俺の姿を確かめた。

「うわっ!」

俺の両肩に、人の三倍もあるような黒い肉の塊が乗っかっている。
しかもその肉の塊には、びっしりと目玉が付いている。
肉の塊は、ずるずると音を立ててところどころ膨れ上がったりへこんだりを繰り返しながら、俺の顔を見つめていた。

ドアが左右に開くと、俺の姿と一緒に肉の塊も見えなくなる。
ドアが再び閉まって、もう一度あの姿を見る勇気はなかった。

俺はそのまま外へ飛び出した。

キキキ~! ドン!

俺はバックで駐車しようとしてた車に思いっきりぶつかり、
割れたリアウィンドーに頭から突っ込んだ。

ドライバーはすぐに降りてきて、
コンビニの中から出てきた店長と話している。

俺は消えていく意識の中で、肩に乗っていた肉の塊が
ドライバーの肩に乗り移っていくのを見つめていた。

やがて俺の視界は、黒い肉の塊と区別がつかないほど、真っ黒な闇に閉ざされていった。

           おわり




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