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「消された前世」・・・怪談。忘れさせたい恐怖の思い出

あっという間に読める、超ショート怪談。でも、よ~くその場面と背景にあるものを想像してみると、じわっと何かが迫ってくる。


『消された前世』

これは私の友人の身に起こったた話です。

その友人の4歳になる息子さんが、前世について話し出したというのです。

始まりは、スーパーの冷菓売り場で、食べさせたことがない高級アイスクリームを指さして
「これ大好きだったんだ」と言ったことでした。

その後、前世の話はどんどん多くなっていったそうです。

亡くなった祖父の写真を見て、
「おじいちゃん、喧嘩強かったよね」
と誰も教えていない祖父の武勇伝を話し出したり。

ついには「自分は今の世に生まれる前は、
東京に住んでいた学生で20歳になる頃に亡くなった」
とはっきりと前世について語り出すようになったそうです。

友人も、最初はただ不思議に思うだけだったのですが
時折前世を話す時に息子が苦しそうにするのと、
余りにリアルな内容に怖くなってしまい、その話題は避けるようになったのです。

もし息子が前世について話し出したら、話題を変えたり、
話しているのを無視するようにしたのです。

その甲斐あってか、5歳の誕生日を迎える頃には、
息子さんはもう前世のことを話さなくなり、
今はかつて前世について話したことさえ覚えていないそうです。

友人も安心したのでしょうか、昔の珍しい出来事だと吹っ切れたのでしょうか、楽しそうに話してくれます。

ただ一つ、ある質問をすると、友人は恐怖に囚われたように、
身体を震わせて、口をつぐんでしまいます。

それは前世だという20歳の学生の死因について・・・。

それについては絶対に話そうとせず、
すぐにその場を立ち去ってしまうのです。

そして最近、友人は別の話題も嫌がるようになってきました。

「恋敵」「ナイフ」、そして「返り討ち」・・・


              おわり


前世について検証した有名な本としては、「誕生を記憶する子供たち(デーヴィッド・チェンバレン著)」があります。ドキュメンタリー番組などでも取り上げられたことがあるのでご存知の方も多いでしょう。

この本を読んでから、「前世」をネタにした映画やドキュメンタリーに敏感になり、場合によっては遠い劇場まで見に行くようになりました。
しかし、その多くが、意識高い系の大人を振り回す、がっかり映画で、
本と映画の乖離を実感させてくれました。

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1993年に、パルコスペースパート3で三谷幸喜さんの作・演出で、「前世を覚えている赤ん坊」をモチーフにした二人芝居の公演があり、色々な意味で衝撃を受けたことを覚えています。


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