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グリム童話を読む配信。『三枚の羽根』❶

ドイツ語の復習のため、グリム童話を原文で読んで配信する試みをしています。

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Brüder Grimm „Kinder - und Hausmärchen“

本の題名、序文目次を読み終えて、物語にとりかかりました。ようやく。笑。『三枚の羽根』のお話を8回に分けて読んでいく予定です。これはその初回。

◇ グリム兄弟の童話集Die drei Federn(1/8)

物語の出だし部分を引用します。その下にある日本語は拙訳です(汗)。

Es war einmal ein König, der hatte drei Söhne. Davon waren zwei klug und gescheit, aber der dritte sprach nicht viel, war einfältig und hieß nur der Dummling….

Brüder Grimm „Kinder - und Hausmärchen“

昔々、ある王様がいました。彼には三人の息子がおり、そのうち二人は賢く分別のある者たちでしたが、三番目の息子は口数が多くなく、ぼんやりしていたので、ただ「とんま」と呼ばれていました…。

QULICO|意訳

王様はこの後、王位を継承する者を決めるため、「我に最も上質な絨毯を齎せよ」と息子たちに課題を与えます。手にした三枚の羽根をおもむろに空へと放ち、「あの羽根が飛んでいったように、お前たちもゆくがよい」と言うのです。

物語の主人公は、三兄弟の末っ子です。彼はうすのろなところがあるため、とんま(Dummling)と呼ばれています。本当の名前は出てきません。気の毒に。苦笑

この、とんま、と訳した Dumm-ling という言葉。細かくみていくと…

Dumm      形容詞|ばか(愚か)な、無知な、未熟な、面白みのない
-ling         接尾語|動詞•名詞•形容詞•数詞などにつけて男性名詞をつくる
                  ①〜される人の意味、②軽蔑的なニュアンス、③動物•植物などの意味

『独和大辞典 第2版』小学館

ということなので、おバカちゃん、と親しみ(?)を込めて呼んでもよいかなと。

そういえば別のグリム童話に、Däumling(Daumen=親指)というキャラクターが登場するのですが、それを『親指太郎』(『親指小僧』とも)と訳された翻訳家のセンス(というよりは思いっきりのよさ?)、見事だと思います。笑

ちなみに、ドイツ語の接尾語には色々ありまして、Mär-chen(童話)の -chen(ヒェン)とか、Fräu-lein(お嬢さん)の -lein(ライン)とかが浮かぶと思いますが、このように単語の後ろ(日本語の場合は前など)にくっつけて、本来の意味よりは砕けた(親しみのある)ニュアンスにするものを「指小辞」と呼ぶそうで、この度の復習を通して初めて知りました。お恥ずかしいですが。はい…

知っていることにも知らないことは潜んでいる。だから知っていると思う部分にも好奇心を向けてみる。そんな姿勢で学び直していきたいと思います(決意)。

*参考*
アプリ版『独和大辞典 第2版』(小学館)
池田香代子訳『完訳クラシック グリム童話』(講談社)

↓こちらのブログ↓。参考として、面白く読ませていただきました。

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