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【映画】誰もが間違っていない。【人魚の眠る家】

おはこんばんちわ。(映画だいありーの挨拶にしていくっぽいので従ってみます。)

緊急事態宣言による #StayHome 期間。ひたすら家に居続けるという、宅配ボックスのないアパートで宅配便の受け取りに苦戦するくらい家にいない今までの自分からは想像もできない生活が続いています。そんな僕の生活を彩ってくれているのは他でもない、Amazon Prime Video であり、Netflixです。エンタメ万歳。

そんな僕に、新たな名作との出会いが。拙いテキストですが、この記事を読んだ1人でも多くの方がこの作品に出会い、「素敵な出会いだった!」と感じてもらえることを願って書いてみたいと思います!

■誰もが間違っていない。だからこそ「倫理」、だからこそ「価値観」。

観終わった時の何とも言えない感情、これぞ東野圭吾。切ない、悲しい、哀しい…。どんな感情が正しいのだろう。そんな物語。

物語は、少女がプールでの不慮の事故によって「脳死」と医者に宣告されるところからスタートします。心臓はまだ動いている。私の娘はまだ生きている。「脳死」=「死」と受け入れられない母・薫子(篠原涼子)。いつかまた心臓が動き始める、そう信じて疑わない母の愛から生まれる行為は周りから見たら行き過ぎた行為と思われるかもしれません。しかし、ふと、当事者目線に立つと決して間違っている感情・行動ではないのでは、と考えさせられます。

そんな母に対して、ただひたすらに様々な価値観を投げかけてくるこの物語。父・和昌(西島秀俊)、研究者・星野(坂口健太郎)、脳外科医・進藤(田中哲司)…。(登場人物それぞれを紹介したい気持ちを抑えて簡略化!)その他全ての登場人物が抱く価値観が母・薫子と対立してしまうシーンがあるが、全員が間違っていないから観ていて苦しい…。どの立場でも、いざ自分がその場に立ったらどんな振る舞いが出来るだろう、と想像しながら見るととても考えさせられる作品です。

■永遠のテーマ!「仕事と愛」

もう一つ、僕がこの作品で考えさられたこと。それが、まさに男女の永遠のテーマとも言えるであろう、「仕事と愛」への向き合い方。和昌と薫子は物語の設定上、離婚に向けて別居中。その理由は和昌の浮気(どう見ても、浮気なんかしなさそうなグッドファザーっぷりを見せてくれる西島さんの雰囲気…)とされていますが、薫子といる時にも仕事の電話に出ちゃうあたり、働き盛りの社長さんが妻、そして家族と向き合えない、という何ともあるあるな構図は独身の僕にとって「結婚とは!?」と、現実を突きつけられた気がします。

そして、サイドストーリーとしての、研究員・星野(坂口健太郎)と川島真緒(川栄李奈)のエピソード。研究に没頭してしまい、彼女との大切な日を蔑ろにしてしまう星野くんの姿に自らを重ねてしまう…。仕事と愛は両立できないのか!!

「生と死」を考えるメインテーマに、この男女の心情を描いたサイドストーリーが加わることで作品がグッと締まっているように感じます。皆さまぜひご意見を。「星野、最悪やな!!」って思う女性の方が多いのであれば、私は結婚を諦めます。もしくは仕事を辞めて主夫をさせてください!!

■ここにも注目!心理描写を繊細に表現する映像

最後に、この作品をおススメする上で忘れてはいけないポイント。それは映像表現がとても繊細で素晴らしいということです。とっても見事に登場人物の心理描写を表現しています。絶妙な暗さ、そこに刺す光。これがハリウッド作品にはない邦画の大いなる魅力ですよね。派手なアクションシーンやCG映像が見られるわけではないのに、素晴らしい役者の皆さんによる迫力ある演技と撮影技法(適切な言葉が見つかりません…!伝われ!)が合わさり、2時間引きこまれっぱなしになる。日本人に産まれて良かった!

予告編にも登場する、篠原涼子さんの「人は、二度は死なない…!」。名シーンです。

■まとめ

とても難しい「生と死」の考え方。答えがないからこそ、「倫理」という考えがあり、それぞれがどんな「価値観」を大切にするか、がとても大事な考え方になるのではないでしょうか。いつか自分がこの作品の登場人物の誰かになった時、自分がどんなことを言えるのか。そのいつか、のために自分が「生きること」「死ぬこと」に対してどう向き合っているのか、と考えるとても良いきっかけになる作品でした。



See you next time.

ぐっさん。

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