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ぐん税ニュースレター RPAバックナンバー 2020年10月号

この記事は2020年10月に発行されたニュースレターvol.16からRPAの記事を再編集したものです。

前回まで、RPAの特徴や様々なツールをご紹介してきました。
そろそろ、「で、実際どうなの?」という声が聞こえてきそうなので、今回は弊社で実際 に稼働しているロボットとその制作過程をお伝えしていきたいと思います。

ロボットはどうやってパソコンを操作しているの?

前回の補足ですが、RPAソフトが自動化を実現する方法として、 画像認識型・オブジェクト認識型・座標認識型の3種類が あります。弊社で利用しているEzRobotは画像認識がメインのソフトとなっています(ウェブブラウザはオブジェクト操作が 可能です)。
例えば「ボタンをクリックする」という動作をさせたい時は、 あらかじめ設定しておいたボタンの画像を探させる、 または、Tabキーにより選択位置を1つずつ移動させてEnterキーで実行動作をさせる、という方法になります。

画像認識型
ディスプレイ全体(または特定のウィンドウ)を1枚の画像として捉え、 その中にあらかじめ設定しておいた画像と一致するものがあるかどうかでプロセスを進めます。

オブジェクト認識型
ウィンドウの中のオブジェクト(テキストボックスやボタンなど、アプリケーションの構成要素)を認識し、そのオブジェ クトを直接操作してプロセスを進めます。

座標認識型
ディスプレイ全体(または特定のウィンドウ)上での座標 (例えば、 画面左上から右に100ピクセル、下に300ピクセルの点など)を指定して操作することでプロセスを進めます。

ぐん税ロボット初号機はこれだ!

弊社で最初に制作したのは、 電子申告データ作成ロボットでした。 弊社ではTKCシステム(TPS1000)を使用して法人の決 算申告作業を行っています。 業務部が決算業務(決算整理、税額計算など)を行い、税理士決裁を経たのち、 電子申告のため にデータをe-Tax (eLTAX)仕様に変換するのですが、 これが今一つスムーズでなく、かねてより自動化したいと考えていたのです。
作業自体は簡単で1件10~15分程度で完了するのですが、最大の難点は事あるごとにフォーカスが移ってしまう事。 弊社ではデュアルディスプレイを導入しているため、変換作業をしながらもう一つの画面で別の作業ができるのですが、 TPS1000のでデータ変換を行っていると、処理が進む度にウィンドウフォーカスが取られ、落ち着いて作業ができないとい う欠点がありました。
また、決裁後はサーバ上の電子申告フォルダにレビュー書類が移されるのですが、 書類があるかどうかを確認し、 あれば変換処理を行うといった具合で、いちいち所定のフォルダを確認する作業も地味ながら手間となっていたのでした。

肩慣らし、では済まなかった

ということで、最初は簡単なものからRPAソフトに慣れていこう、というつもりで選定したのですが、 実際に作り始めると意外に複雑で制作は難航しました。
一連の流れをざっくり示すと、

という感じなのですが、特に(2)は細かいステップやパターン分けが大変でした。
その中でも試行錯誤を繰り返したのが、 添付書類の有無を設定するメニューです。 決算報告書や一部の別表など、別途添付しなければいけない書類の有無や、 郵送かPDF添付かの選択が必要なのですが、 画像認識系の辛いところで、クリックしたいチェックボックスがどれなのか、 検索元となる画像を工夫しなければいけませんでした。

また、個人的にTKCシステムの好ましくない点なのです が、お節介なポップアップが多い事が挙げられます。 メ ニューボタンをクリックすると再確認のメッセージが表示されたり(変換ボタンではなく、 メニューボタンです よ)、終了ボタンをクリックしたら宣伝じみたポップアップ が表示されたり・・・。こうしたポップアップが表示されるかどうかを待機するプロセス、表示された画面を認識して閉じるボタンをクリックするプロセスを追加しなくては なりません。

そんなこんなで、完成したロボットは当初想定していたよりも複雑なものとなってしまいました。

完成したロボットのメインプロセス(左)と、各種モジュール群 (右)

AIとは違うの?

さて、これを読んでくださっている皆様が一番気になるのは、やはりロボットの働きっぷりだと思います。 最終的にこのロボットの一連の処理時間は、1件当たり15分となりました!
・・・ん? 人がやるのと変わらないんじゃ、意味ないじゃないか。 と思われましたか? 確かに作業時間自体はほとんど変わりません。むしろ少し遅いケースもあります。しかし、このロボット制作において重要なのは作業時間の短縮ではなく、いかに人が手を掛けないかという点にありました。 決裁フォルダを確認し、必要であればデータ変換を行い、終わったら連絡をくれる。それが、今回目指したロボットの形です。
もちろん、正確に素早くできるのであれば、 それに越したことはありません。 データを引き渡して、すぐに結果が欲しい業務もあります。
今回のようなテキスト入力がない画面操作主体のロボットでは、操作対象のアプリケーションの速度に左右されるため、作業自体の劇的な時短は望めません。一方で、エクセルからの転記のようなテキスト主体の操作となると、断然ロボットに軍配が上がります。

失敗を教訓に

一点、弊社での導入に際しての失敗として挙げるとすれば、専担者を設けられなかったことです。 導入前に見学した他事務所での説明やコンサルから受けた話で共通していたのが、 「RPA専担者を置く」という点でした。 しかし、当時業務マネージャーという立場であり、さらに年末調整の時期とも重なったため、RPAは二の次三の次という状況となってしまいました。
弊社に限らず、中小企業の多くではシステム専担者を置くのはなかなか難しいものと思います。 やってみたいけれど、人ひとり追加で雇うのは厳しい。 そんな皆様のために、弊社ではRPAをはじめとしたIT導入支援を行っております。
最初は弊社にお任せいただき、運用が安定してきたら社内に担当者を置く、という流れもアリだと思います。 ご興味のある方はお気軽にご相談ください!

システム部 田中


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