対面授業とクレープと
今日は、朝から15時過ぎまで大学の授業が入っていた。
私の通う大学は、今は対面授業移行期間なので、今日の授業はどれも自宅からパソコンで受けるか、対面で受けるか自分で選べるものだった。このご時世に配慮しての対応だ。
こんな風に、どこで受けるのかを自由に選べる授業は前期もあった。その時はなるべく楽しようと、当然のように家で授業を受けた。何といっても通学準備や通学がないので、とにかく楽だった。何なら、授業の始まる20分前に起きても間に合った。
確かに楽だし、長く寝ていられるし、行き帰りの時間を他のことに割けた。でも、オンライン授業は私には向いていないことが分かった。
家で授業を受けているとどうしても怠けてしまう。真面目に、自分でできる人ならそんなことはないと思うのだけど、私は怠けてしまう。マイクもカメラもオフだから、ついつい他のサイトを覗いてしまったり、うとうとしてしまったり。
これではいけないと気づいたので、後期は自宅でしか受けられない授業以外は、学校で受けることにした。
そういうわけで今日は登校した。
教室に入るなり、私は驚いた。誰もいないのである。部屋を間違えたのかと思ったけど、どうやら違うみたい。
先生が入ってきた。オンラインで受ける人用に、スクリーンを出し始めて、パソコンを操作していた。
私の他に誰か1人くらいいてもおかしくないのに、と不思議に思った。
…いよいよチャイムが鳴った。広い教室に、先生と私。
傍から見れば、とても意識の高い学生のように見えただろう。でも、実際は違う。家だと怠けるから来ただけなのだ。
対面でマンツーマンの授業は、眠くなるはずがなかった。教室の前のスクリーンには、各々のパソコンで参加しているみんながいる。でも、みんなカメラもマイクもオフなので、教室には先生の声だけが響いていた。
おかげさまで、家で受けるより格段に授業内容が頭に入って、理解も深まった。
そんな授業が3コマ続いた。どの授業も、教室には先生と私だけ。始めは動揺した私だけれど、段々慣れてきて、しまいには広い教室で先生の話を聞けるなんて何て贅沢なんだと思うようになった。
それに、先生もひとりの私を気にかけてくださって、ちょっとした世間話なども出来た。みんながいたら出来なかったことだと思った。
だけど、対面だと多少緊張するからか、3限が終わったころには疲れが感じられた。だから、帰り道、途中下車してクレープ屋に寄った。クリームブリュレのクレープは、今日1日頑張った私へのご褒美。甘党の私でも十二分な量のクリームを頬張りながら、1人で授業を受けた自分を労った。
(おわり)
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